安全装備&運転支援装備で圧倒! 打倒ホンダN-BOXの新型日産ルークスがもつ優位点 (2/2ページ)

使い勝手や安全性も軽自動車とは思えない贅沢さ

 実用性や子育て世代の使い勝手にかかわる、N-BOXの十八番と言えるシートアレンジ性では新型ルークスも手抜きなし。なんと後席スライド量をN-BOXの左右分割140mmに対して、左右分割かつクラス最大の320mmとしているのだ。

 これは助手席の母親が、子供を座らせた後席を前方にグーッとスライドさせることで、ケアしやすいメリットがある。一方、N-BOXは、助手席スーパースライドシートを設定。なんと570mmのスライドが可能で、母親から子供に近づくというイメージだ。同時に新型ルークスの後席320mmスライドは、ラゲッジスペースの奥行を最大675mmまで拡大アレンジできることを意味する(後席スライド前端時/ N-BOXは最大540mm)。後席膝まわりスペースとラゲッジの奥行のフォーメーションの自在度では、当然新型ルークスが上と考えていい。

 ラゲッジの使い勝手をさらに突き詰めれば、新型ルークスは床下に大容量の収納を完備。フロアを極限まで低くしたN-BOXに床下収納はない。これは、ラゲッジフロアの低さを取るか、ラゲッジフロアを高めても床下収納の便利さを取るかで、評価は変わるかもしれない。

 デビューが新しい新型ルークスが、先進安全装備でリードしていることは当然だ。そもそも新型デイズに、あおり運転被害時や事故の際に有効なSOSコールを軽自動車として初搭載し、自動車業界を激震させた経緯がある。もちろん、新型ルークスにもハイウェイスター限定で標準装備するとともに、標準車のXでもオプション設定されている。緊急時の自動通報&オペレーターサービスは、高齢者だけでなく運転初心者、いや、一般ドライバーにも大きな安心をもたらしてくれること間違いなしである。一方、現時点でN-BOXにSOSコールの用意はない。

 合わせて、先進安全運転支援機能についても新型ルークスがリード。プロパイロットエディションに限られるが、ACC(アダプティブクルーズコントロール)機能の優劣は歴然。N-BOXは旧世代のもので、約30~110km/hでしか作動せず、渋滞追従機能なし。対して、新型ルークスのプロパイロットエディションなら、電子パーキングブレーキの採用もあって、渋滞追従可能。ACCのありがたみをより強く感じられるのは、高速道路の渋滞時なのである。もちろん、プロパイロットそのものの機能も最新だ。

 また、新型ルークスには前方を走行する2台前の車両を検知し、急な減速などによって自車の回避操作が必要と判断した場合に、警報でドライバーに注意を促すインテリジェント FCW(前方衝突予測警報)を軽自動車として初搭載。これはこれまでスカイラインクラスに装備されていた先進安全運転支援機能で、まさに、軽自動車にとって贅沢すぎる機能と言える。無論、N-BOXに前方を走行する2台前の車両を検知する機能は、ない。

 そんなわけで、あくまで現時点での比較ではあるものの、N-BOXより3年近く後にデビューした新型ルークスが、N-BOXをリードしている点が少なくないのは当然のこと。ただし、使い方は人それぞれ。デザインの好みも人それぞれ。これからスーパーハイト系軽自動車を購入するなら、上記の比較内容はもちろんだが、シートのかけ心地や乗り心地、シートアレンジのしやすさ、動力性能、先進安全装備、そして価格などを総合的に比べ、自身、あるいは家族に最善の1台を選んでほしい。

 同クラスのミラクルオープンドアやミラクルウォークスルーパッケージを採用するタント、SUVテイストのギヤをラインアップするスペーシアという選択肢も、もちろんある。おっと、基本部分を共用するekスペースも忘れてはならない。2020年はスーパーハイト系軽自動車戦国時代の突入である。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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