カタログを置く場所がない! クラウンは売れない! トヨタ系ディーラーが抱える「全店全車種扱い」の難題 (2/2ページ)

クラウンはそう簡単に「お客」が掴めない車種

 一部報道では、5月の全店全車種扱いのタイミングで一部車種整理が行われるとの情報もあるが、現時点ではそのまま全店全車種扱いとなるとの話が有力だ。つまり、同じ店で兄弟車であるアルファード&ヴェルファイアや、プロボックス&サクシード、プレミオ&アリオンが扱われることになる。こうなると、ショールーム内でカタログを置くスペースもかなり拡大するのが必至。

 すでにひと足早く“トヨタモビリティ東京”として全店での全車種扱いを進めている東京地区のトヨタディーラーは比較的ショールームが大きいのだが、ある店舗のショールームを見ると、“カタログ図書館”のようにカタログを置くスペースがショールームに広がっていた。

 新車購入事情通によると「多くの地域のトヨタディーラーのショールームはそれほど大きくありませんので、新規扱い車種についてはショールーム内にカタログを置くスペースは設けないようです」と語ってくれた。さらに「新型車については発売前にメーカーから、商品説明のマニュアルが配布されますが、継続販売車種の新規取扱車についてはセールスマン個々で独学により商品知識を学ぶことになります。そのため当面は従来からの取り扱い車の販売促進をメインに、問い合わせがあったら新規取り扱い車の販売促進を行うことになるのではと考えております」とも語ってくれた。

 クラウンを扱うトヨタ店以外のトヨタディーラーのセールスマンは「クラウンは、急に売ってもいいと言われても、そう簡単に売れるクルマではありません。クラウンだけでなく、いままでとは明らかにお客様の層が異なるクルマはとくに厳しいですね」とのこと。

 新型コロナが収束を見せないなかで、おそらくスタートするであろうトヨタディーラー全店での全車種の取り扱い。新車販売にまさに逆風が吹くなかでは、取り扱い車種が増えて、客の選択肢が増えるということはディーラーにとっては非常に心強いものとなるかもしれないが、カタログを置くスペースすら悩ましい状況では、しばらく販売現場ではバタバタした日々が続くのは間違いないだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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