バスマニアの特等席「オタシート」がロックダウン! 新型コロナ蔓延によるバス業界の悲鳴 (2/2ページ)

乗客との距離が近いバス運転士は常に不安に晒されている

 嫌な予感がしたので、事情通に聞いてみると「業界団体から運転士の感染予防の観点から、オタシートと運転席真後ろのシートを利用できないようにするようにという通達が事業者にあったようです」とのこと。ちなみに業界団体やいくつかの事業者のウェブサイトを閲覧したが、今回の一部シートの利用停止に関するアナウンスを確認することはできなかった。路線バスにおける新型コロナウイルスの感染予防策としては、開けられる窓はすべて開けて換気する措置などがとられているが、より踏み込んだ感染予防策がとられることとなったようだ。

「公共交通機関の稼働維持と、外出自粛、テレワークなどにより利用者は減っているものの、路線バスは極端な減便措置などはとらず、平日もしくは土曜ダイヤなどで運行を続けています。ハンドルを握る運転士の間での、新型コロナウイルスへ感染してしまうのではないかという不安はハンパなものではありません。鉄道の運転士よりもはるかに乗客との距離は近いですし、行き先などについての乗客からの問い合わせに答えるといったことも多いので、その気持ちは十分理解できます。今回の一部シートの利用停止はそのような運転士の不安解消策のひとつともいえるでしょう」(事情通)。

 ただ、いまどきの路線バスは、前とびらから中とびらの間にあるシートはたいてい優先席となっているので、オタシートなどの“ロックダウン(封鎖)”後は、中とびらから一番後ろにかけてのシートに座る乗客が多くなり、けっこう濃密な状況にもなりやすくなったと筆者は乗車していて感じた。

 事情通によると、利用客はかなり減少しているものの、さらなる感染予防を高めるために、運行間隔を狭めることを検討している路線もあるとのことだ。少しでも車内が混雑しそうになったら、運転士が「次のバスに乗って欲しい」と、言いやすい環境を整える意味があるようだ。

 今後は運転席を透明ビニールシートなどで完全隔離したり、運転士が防護服を着て運転するといったことも冗談抜きで検討されていくかもしれない。

 ライトなバスオタである筆者だが、ここは新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かうまでは、再びオタシートに座ることができる日がくるのを願いながら我慢するしかないと思っている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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