「燃費激ワル」でも存在を「悪」とは呼ばないで! ガソリン使いまくりの「衝撃燃費」現行車5選 (2/2ページ)

踏んだ瞬間「神」が見えるクルマもこれで最後になる!?

3)フェラーリ812スーパーファスト

 燃費規制はスーパーカー専売メーカーもスルーできないということで、ついにフェラーリも次世代モデルではハイブリッド化などで劇的な燃費の改善をはかる。規制に対応しつつ、とんでもない高性能を発揮させる次世代モデルは大変興味深い。しかし、フル加速時に脳髄が破裂するかのような、クルマに「神」が宿っていると本気で思わせる、フェラーリのエンジンでしか得られない独自の官能の世界は、やや薄まるものと推察。

 488に搭載されるダウンサイジングターボ化された高効率なV8は、100馬力もアップしながら、旧型の458に搭載されたNA時代のV8を官能性で凌駕することはなかった例もある。800馬力を8500回転で発揮するウルトラ高回転型V12気筒を搭載するフェラーリ812は、欧州複合サイクル燃費で6.7km/Lとされるものの、「神が見える」最後のフェラーリになるのかも知れない。

4)ベントレー・ベンテイガスピード

 ベントレーの超弩級SUV、ベンテイガも欧州市場ではハイブリッド版がデビュー。3リッターのV6+電気モーターということで、燃費は圧倒的に向上。おそらく乗ればウットリする洗練度や上質感が味わえるのだろう。フル電動版も開発中だという。

 しかし、「世界最速SUV」で名を馳せたベントレーのSUVに乗るほどの御仁ならば、エコな仕様よりも、635馬力を発生する6リッターのW12ツインターボ搭載のベンテイガスピードのほうがはるかに満足度が高いはずだ。WLTCモード燃費が約6.8km/Lに低下することなど、まったく気にならないのではないだろうか。元エンジン技術者の創業者、ウォルター・オーウェン・ベントレーは、フォルクスワーゲンのエンジニアリングになった今の製品を見ても、きっとW12気筒搭載車のほうが自社製品らしいと評価するだろう。

5)ロールスロイス・ファントム エクステンデッドホイールベース

 6.75リッターのV12ツインターボを搭載。車重2780kgの巨体を、発進から5.4 秒で100km/hに達する超ド級の動力性能を発揮しながら、加速Gやサウンドの高まりを乗員に感じさせないという摩訶不思議さ。航空機エンジンでも大きなシェアを持つ生粋のエンジン屋でありながら、今も昔も「この世でもっともエンジンの存在を感じさせないクルマ」としても知られるのがロールスロイスだ。

 この世でもっとも燃費を気にされないクルマでもあり、オーナーさんに尋ねても「燃費? 知らない」と返される。試乗リポート記事などによると、実燃費は4~5km/L。「自宅の六本木ヒルズから銀座への往復しか乗らない」セレブオーナーの運転手の証言によると、2km/Lらしい。とはいえ、メーカーとしては燃費改善をはかる改良に余念がなく、将来的には電動化などにより、より一層パワートレインの存在を意識させない乗り物になるのだろう。EV仕様のテスト車が日本の道路を走ったこともある。しかし、EVで静かなのは当たり前。途方もない大パワーエンジンを積みながら「粛々と」走らせることの方が、技術的にははるかに偉大ではないだろうか。そんなありがたみが感じられるのも、今のうちかも知れない。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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