【試乗】日本の道から世界へ! ミシュランのスタッドレスタイヤ最新作「X-ICE SNOW」が発売 (2/2ページ)

刻々と変わる路面状況においてもしっかりと手応えが伝わる

 そんなX-ICE SNOWの実力はどうだったのか? 北海道の士別寒冷地技術試験場と一般道で試してきた。士別試験場では圧雪路やアイス路面を従来品(X-ICE 3+)との比較がメインだ。アイス路面では30km/hからのフルブレーキだが、結果は一目瞭然。もちろん、短く止まることはスタッドレスタイヤの進化における絶対使命だが、それよりビックリしたのは「反応の良さ」である。

 具体的にはアクセルを踏んだ瞬間、ブレーキを踏んだ瞬間にタイヤが「ギュッ」と路面を掴んでいることがペダルやステアリングを通じてドライバーにシッカリと伝わってくるのだ。つまり、「グリップしている……かもしれない」ではなく「グリップしている」と確信でき、そのタイヤを信頼できるのである。

 それは圧雪路を走っているときも同じ印象で、縦方向、横方向共に路面を掴んでいるのがわかる。定常円旋回では従来品に対して旋回スピードが確実に高いのはもちろん、限界がわかりやすいのと限界を超えてクルマがスライドしてもクルマの動きは穏やかかつ不安定な挙動になりにくいので、ドライバーはドキッとすることも少ない上に、挙動を修正する余裕すらある。

 その一方で、電子制御OFFで元気に走らせると「安定しすぎてつまらない」と感じてしまうところもあったが、逆を返せば絶対的なグリップとコントロール性の高さを証明している……と言ってもいいだろう。

 さらに驚いたのは一般道での試乗だ。試乗した2月は暖冬の影響で北海道でも雪が少なかった所に朝晩の急な冷え込みもあり、雪(乾いた圧雪からシャーベットまで)/アイス/ドライとさまざまな条件が時々刻々と変化をする嫌な路面だったが、むしろX-ICE SNOWの良さは際立った。

 そのなかでも印象的だったのはテストコースで感じた「反応の良さ」に加えて「懐の深さ」だ。具体的には路面変化を感じさせない各性能のバランスの良さと連続性なのだが「この路面は得意だけど、この路面は苦手」、「路面が変わるときにヒヤッとする」がないのだ。その結果、安心感が高い→ストレスが減る→ミスをしにくくなる→安全運転に繋がるというわけだ。

 もちろん、従来から定評のあるドライ性能は健在である。普通に走っていたらサマータイヤと勘違いするくらいのシッカリ感と応答性の高さ、快適性、静粛性が備わっていた。

 スタッドレスタイヤはアイス性能と雪上性能が重要なのは言うまでもないが、それだけよければOKではない。なぜなら、われわれはどのような路面環境を走るかを選ぶことはできないからだ。となると、スタッドレスタイヤに求められる性能は幅広くあるべきだし、不得意な所は少ないほうがいい。そういう意味では、X-ICE SNOWは日本人が求める性能を大きくレベルアップしながらも、リアルワールドで走る道を選ばない「総合性能」を備えたスタッドレスタイヤと言えるだろう。筆者はこのタイヤを「“冬”のトータルパフォーマンスタイヤ」と呼びたい。


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