ダイハツ・タフトvsスズキ・ハスラー! いま軽クロスオーバーを「買うならどちらか」徹底比較した (2/2ページ)

車中泊や悪路走破性などはハスラーに軍配!

 車中泊対応についても、両車は真っ二つ。ハスラーは前席のサポート性を犠牲にしても(フラットアレンジ重視)、前席まで使った、最大ベッド長2040mmを実現。アクセサリーのマットを敷くことで、大人2人がゆったりと足を伸ばして横になることができるのだ。

 が、タフトは車中泊に対応していない。後席格納時のフラットフロアの長さは840mmでしかない。これだと大人が横になることは不可能だ。車中泊をしたければ、それに特化したウェイクをどうぞ……というわけだ。

 しかし、そのおかげで、ロッキー用のシートフレームを贅沢に奢った前席のふんわりとお尻が沈み込む、サイドサポート性、かけ心地抜群のシートを用意。タフトの前席のかけ心地、ホールド性の良さは軽自動車最上と言っていいほどだ。

 軽クロスオーバーということで、ハスラーが誕生したきっかけが雪国のユーザーの要望だったように、悪路や雪道の走破性も欠かせない機能ポイントだろう。両車、FFと4WDを用意しているのはもちろんだが、最低地上高はタフトが全車190mm、ハスラーが全車180mmと、両車なかなかの数値。しかし、より悪路走破性に本気なのは、ジムニーという究極の選択もあるスズキのハスラーのほう。タフトは滑りやすい路面での発進、加速、脱出をサポートしてくれるグリップサポート制御のみだが、ハスラーの4WDにはグリップコントロールのほか、ヒルディセントコントロール、スノーモードまで装備されるのだ。悪路により強いのは、ハスラーの4WDモデルということになりそうだ。

 走行性能面では、タフト、ハスラーともに、さすが最新の軽自動車だけに、NAでもよく走り、ターボともなれば一家一台のファーストカー、ロングドライブ用としてもぴったり。違いが出るのは乗り心地で、全車15インチの一般的なサイズの大径タイヤを履くタフトは、エクステリアデザイン、キャラクターと合致させるため、やや硬め。路面によってはゴツゴツする。言い方を変えれば、男っぽい乗り味だ。

 一方、タフトと並べると今やずいぶん”可愛く”見えてしまうハスラーの乗り心地は、ズバリ、乗り心地重視の専用スペシャルタイヤのおかげもあって、軽自動車最上級と言える、フラットさ極まる快適なタッチに終始。昨冬、ハスラーに急きょ、安物のスタッドレスタイヤを履かせ、雪国まで走った経験があるのだが、それでも乗り心地、ロングドライブでの快適性、疲労感の少なさは文句なしだった。

 とはいえ、走行性能でタフトが際立つのが、パワーステアリングの操作性だ。低速域では、デザインやキャラクターとの違和感を覚えるほど軽いのだが、とにかくウルトラスムースで操舵フィールに雑味なく、速度を上げるほどに引き締まり、安心感が出てくる絶妙かつ気持ち良さ爆発の設定なのである。分厚いクッション感を持つ前席のお尻をふんわり沈み込ませ、背中をやさしく包み込む心地よいサポート性の良さ、前後左右の姿勢変化の絶対的な少なさもあって、交差点を、カーブを曲がり、山道をスイスイ走るのが”楽しい”、”安心”と感じさせてくれるほどなのだ。

 さて、軽クロスオーバー狙いのみなさん、タフトとハスラー、どちらを選びますか? よりワイルドなデザインや割り切った前席優先パッケージ、スカイフィールトップの気持ち良さ、ダイハツコネクトを含む先進機能&装備、ACCの機能の高さなどで選ぶならタフトで決まり。

 ピンク×ホワイトなどの可愛いボディカラーも選べ、荷室のアレンジ性、後席使用時の荷物の積載能力、クラスを超えた絶品・上質な乗り心地、車中泊の対応性(車中泊用アクセサリーも充実)で選ぶならハスラー……という感じだろうか。

 ただ、ひとつ付け加えておくと、タフトの後席スライド機構なしは、ユーザーによっては決定的なウィークポイントにならないという点だ。荷室の奥行を変えられなくても、前席2名乗車前提であれば、後席をフラットに倒して荷室を拡大すればいいだけだ。シートスライドレールを持たないことで、後席を倒したときのフラット度でもタフトは他車をリードしているのである。

 ちなみにハスラーの2トーンカラーは2トーンカラー仕様車として4万4000円(税込み)高になるのだが、タフトのGターボ、Gはガラスが黒く見えるスカイフィールトップの前を黒く塗っているため、”無償”で疑似2トーンルーフに見えるのがお得だったりする。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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