現代の新型車なのに「木」のシャシーで「1000万円」オーバー! イギリスの「モーガン」が生き残れるワケ (2/2ページ)

イギリスの自動車ブランドは苦難を乗り越えてきた

 今年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で急遽中止になった、スイス・ジュネーブショー。筆者はこれまで、毎年のように現地取材してきたが、モーガンの関係者に会うのが楽しみのひとつであった。

 モーガンの展示ブースには、長年のモーガンユーザーや、世界各国のジャーナリストなど業界関係者たちの笑顔が絶えない。モーガンに接していると、自然と笑顔になってしまう。昔ながらの木製シャーシを英国職人が丁寧に仕上げる。いわゆる、バックヤードビルダーと称するのは、モーガンの歴史を考えると妥当ではないように感じる。

 振り返ってみると、英国の自動車産業はロールスロイスも、ベントレーも、ミニも、ジャガーも、ランドローバーも、アストンマーチンも、経営難を乗り越えながら新たなる道を歩んでいった。モーガンも当然、社会の荒波を何度も超えてきた。

 そしていま、こうして新型車を世に送り出すことができたのは、歴代の経営者がどのような状況でもブランドと昔ながらのモノづくり精神を守ってきたからだと思う。

 決して目立つことはないモーガンだが、世界中のモーガンファンを裏切らないため、生き延びるためのさまざまな事業連携を行ってきた。柔軟な姿勢でいながら、守るべきものをしっかりと守ってきたのだと思う。

 そしていま、モーガンにとって追い風が吹き始めている。

 2010年後半以降、自動車産業界は100年に一度の産業構造変化に直面するなか、クルマに個性を求める人たちが世界中に増えてきたのだ。日本でもこれから、新たにモーガンファンになる人たちが増えそうだ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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