「使える」ハズが「使わない」! 「不必要」なハズが「必須」! 勘違いの多いクルマの装備5つ (2/2ページ)

名称は同じでも車種によって内容が異なる機能も

3)ティッシュボックスの入らない収納

 以前、スーパーハイト系軽自動車の比較をしたとき、ちょうど花粉の季節でもあったので、ティッシュボックスの置き場を検証したことがある。日産ルークスは助手席前の引き出し式ボックス、ホンダN-BOXはハンドル奥ふた付きボックス&助手席前トレイ、スズキ・スペーシアもルークスと同じように、助手席前の引き出し式ボックスに目立たず、すっきりと収納できるのだ。が、ダイハツ・タントだけは、どの収納にもティッシュボックスは収まらなかった(ふたが閉まらない)。

 が、しかし、その検証結果は、ボクの”勘違い”というか、検証不足であることが、あとでわかったのだ。ときはコロナ騒ぎの真っただ中。記憶に新しい、トイレットペーパーやティッシュボックスの買い占めが行われていたころだ。ティッシュボックスを買いに走ったものの、ボックスは売り切れ。が、ボックスなしのソフトパックのティッシュだけがひとつ、売れ残っていて、それを買い求めたのだ。家に帰ってきて、そのまま使うのはどうかと思い、しまってあったプラスチックのティッシュ箱に入れてみると、一般的なクリネックスなどのティッシュボックスのティッシュより小さいことが判明(安かったが、やられた!! と思った)。

 そこで、タントの収納に入れてみたらこれがばっちり(ソフトパックなのでつぶれやすいこともある)。硬く四角四面のティッシュボックスが入る収納スペースがないから、花粉症の人にとって使いにくいクルマ……と、タントを決めつけていたボクの大きな思い間違い、検証不足だったというわけだ。

4)コネクテッド機能

 とある国産自動車メーカーのエンジニアと話したときに、これから先のクルマは、つながるコネクテッド機能が必須になる、と教えてくれた。確かに、日産デイズのように、軽自動車でもSOSコールや専用ナビによる日産コネクトサービス/オペレーターサービスが利用できる時代だ。万一の際、これほど安心な機能はない。トヨタのヤリスなども、DCM(車載通信機=SIM)を用意し、コンパクトカーでもつながることが当たり前の時代になってきた。ただし、勘違いしてはいけないのは、つながる方法には、大きくわけて2種類あるということ。

 理想は、トヨタ車のほとんどが採用している、DCMの搭載である。つまり、クルマに最初から通信機器が付いているため、スマホがなくてもSOSコールやオペレーターサービスが、一部有償とはいえ、利用できるのである(遠隔操作などスマホを利用するサービスもある)。

 一方、ホンダ車の多くや車内Wi-Fiまで用意するダイハツのロッキーなどは、DCMを搭載せず、スマホ必須のコネクテッドサービスとなる。DCMなしだと通信料をスマホに1本化できるメリットはあるものの、スマホを忘れたらつながるクルマにはならないので、新車購入時には同じコネクテッドサービスでも、DCMあり、なしの確認が必要だ。つながる……らしい新車を買ったものの、携帯電話がガラケーで、つながるサービスを使えなかった、ではガッカリですよね。

5)後席スライド機構

 思い違いしやすい機能装備のひとつが、後席スライド機構。たしかに、後席がスライドすることで荷室の奥行を広げられ、とくに絶対的に全長&荷室奥行の短いユーティリティ系軽自動車では、後席スライド機構の装備が常識になっている。が、それをいじる機会がどれほどあるだろうか。それだけじゃない。後席膝周り空間とバーターで、荷室の奥行を広げられるとはいえ、日本の平均乗車率は1.5人。大きな荷物を積む際、軽自動車でも、それこそ後席を格納して荷室を拡大すればいいだけのこと。

 さらに後席スライド機構はあったほうが絶対に便利で快適……という考えをひっくり返すようだが、後席スライド機構を持たせることで、フロアに対してレール分、7cmほどシート位置が高くなり、頭上空間が犠牲になることもある。なので、高全高のハイト系軽自動車やミニバンに採用されているケースが多いのだ。それに後席スライド機構にはデメリットもある。それは、レールを必要とするため、シートの取り付け部剛性が、レールを使わない、フロアに直接取りつけたスライド機構なしのシートに比べて劣り、重心も高くなり、荒れた路面での微振動を発生させる原因になったりするのである。

 トヨタ・アルファードなどの2列目キャプテンシートは、微振動対策のため、シート背面にダンパーを仕込んでいるぐらいで、それでもひじ掛けの微振動は取り切れていなかったりする。ちなみに、ダイハツ・タフトの後席はライバルのハスラーと違い、コストダウンの理由もあってスライド機構なしだが、かけ心地は分厚いクッションに加え、微振動が抑えられているため、けっこうかけ心地がよく、前席でゴツゴツする荒れた路面でも快適だったりするのである。後席スライド機構は、車種によってあり、なしを選べるものではないが、便利さの裏側にそうしたデメリットもあることを知っておいてほしい。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報