「軽自動車」=「初心者向け」じゃない! 運転に不慣れだと感じる「軽の難しさ」5つ (2/2ページ)

デメリットを頭に入れて運転するだけでも安全性は高まる

3)車内の騒音が疲労に繋がる

 続いて3つ目は、これも高速道路を走る場合や、長距離を走る場合に言えることですが、軽自動車は普通車に比べて風切り音やロードノイズ、エンジンの音などが入ってきやすく、知らず知らずのうちにノイズが疲労につながってしまう場合があることです。

 車内に入ってくるノイズが大きいと、同乗者との会話も無意識のうちに声を張り上げて喋ることになりますし、音楽やラジオの音量も大きめになってしまいますよね。ずっとそうした状態が続くと、その最中にいる時には感じていなかったとしても、クルマを降りてから「なんか疲れたな」と感じることが多いと言います。最近の軽自動車は防音材、遮音材などを昔よりたくさん使って静粛性を高めていますが、それでも普通車に比べるとノイズが大きく入ってくる軽自動車が多いです。

 疲労度が増すと集中力が奪われたり、操作に遅れが生じたり正確性が落ちるなど、安全運転に支障をきたしてしまう可能性もありますので、こまめに休憩を挟みながら運転するなど注意して欲しいと思います。

4)車体が小さく周囲の認識が遅れる

 次に4つ目は、ボディサイズが小さい軽自動車は、周囲のクルマに認識されにくい場合があることです。大型トラックや観光バスなど大きな車両の陰に隠れてしまったり、夜間や悪天候の日に遠くから見えにくくなってしまったり、また実際にはけっこう近くに迫っているのに、小さく見えるのでまだ遠くにいると勘違いされて、右折待ちのクルマが飛び出してきたりする場合もあります。

 そのため、悪天候の日は昼間でもライトを点灯したり、夕方早めに点灯したりして、いつでも周囲に自車の存在をアピールする必要があります。また、黒やグレーなどベーシックなボディカラーよりも、赤や黄色、オレンジなどビビッドなカラーの方が目立ちやすくなりますので、初心者はそうしたボディカラーの軽自動車を選ぶのもひとつの手だと思います。

5)まわりのクルマに威圧されがち

 さて最後の5つ目は、心理的なものになりますが、周囲のクルマに舐められることがあるということです。とても残念ですが、人は自分より小さなもの、価格が安いものを見下してしまうところが完全にないとは言えません。「軽自動車=遅い」という認識を持っている人もまだまだいます。

 そうすると、いくら自分が気をつけていても、無理な割り込みをされたり、煽られたり、合流で明らかに故意に入れてもらえない、といったことが起こりやすくなってしまうのです。初心者の時にそんなことをされると、運転が怖くなってしまうかもしれません。ただこれは、普通車にしたからといって0になるとは限らないことです。そうした傾向があると、頭の片隅に覚えておいて、冷静に対処することが大切だと思います。

 ということで、初心者が普通車に比べて感じやすい軽自動車のデメリットを挙げてみました。これらは、1~3つ目のように運転に慣れてくることで改善することもありますが、4~5つ目は自分の運転スキルでは完全に払拭することは難しいかもしれません。でも、そうしたデメリットを頭に入れて運転するだけでも、何も考えずに運転するよりはずっと安全性が高まると思います。

 最初はちょっと難しいかもしれませんが、自分のクルマが周囲からどう見られているか、どんな存在かを客観的に判断しながら、空気の読めるドライバーを目指したいですね。そしてゆくゆくは、軽自動車も普通車も、分け隔てなく安心して快適に走れるクルマ社会がくることを願っています。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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