伝統と車名を受け継いだトヨタ・スープラの魅力を歴史からたどる (2/2ページ)

初代から5代目までの変遷

1978年発売 初代

 1978年に登場した初代、1981年に登場した2代目は、日本ではセリカXX(ダブルエックス)という車名で親しまれている。初代からFR方式、直列6気筒エンジンを採用し、現在に至るまでその伝統が受け継がれている。

 初代は角型4灯ヘッドライトやT字をモチーフとするエクステリアが特徴的で、スポーティというよりはラグジュアリーな雰囲気を持っていた。1980年のマイナーチェンジにより、全車のリヤサスペンションを独立懸架式としたことでハンドリング性能を向上、走りの魅力を高めていった。

1981年発売 2代目

 2代目は、リトラクタブルヘッドライトの採用やボディのワイド化、ヘッドレストと一体になったバケットタイプのフロントシートを採用するなど、スポーティさを強調したモデルとなった。

 また、5速MTのほかに電子式タイプの4速ATを用意したり、ステアリングホイールは全車にパワーステアリングを設定し、当時の先端技術であったデジタルメーターも取り入れるなどスポーツカーとしての魅力をより一層引き立てた。

1986年発売 3代目

 1986年に誕生した3代目からはセリカXXの名が廃止され、スープラに車名が統一された。5ナンバーサイズの標準ボディと3ナンバーサイズのワイドボディの2タイプが選べ、エンジンは全機直列6気筒で2リッターの自然吸気(NA)から3リッターのターボまで、なんと6種類もラインアップしていた。

 1988年8月には、グループAのホモロゲーション用の500台限定モデル「ターボA」も登場。7M-GTに専用の大容量タービンが用意され、270馬力までパワーアップするなど、当時の国産車最強の一台としてスポーツカー好きには垂涎ものだった。

 ライバルは初代からの因縁ともいえるフェアレディZとなるだろうが、指向性はやや異なる。もともとはセリカというスペシャリティカーの延長から、本格的FRスポーツとしてセリカから切り離されて誕生した70スープラは、他車にはない独自の世界観を持つクルマだった。

1993年発売 4代目

 4代目は直列6気筒の2JZエンジンをフロントに積む、オーソドックスなロングノーズの3ドアファストバッククーペスタイルとして1993年に登場した。大胆なリヤウイングが目を引いたが、これもダウンフォースと後方視界を両立させた優れもので、空力的にも優秀だった。

 見た目は派手だが、意外にも先代モデルよりもコンパクトで、より低く、ワイドに、短くなったのが特徴。ホイールベース:トレッド比は1.67で、スタイリングは高速ツアラーだが、じつはハンドリングマシンの性格が強かった。

 エンジンは、先代モデルの2.5リッター直列6気筒の1JZを進化させた3リッター直列6気筒の2JZを搭載する。同じ直列6気筒の日産スカイラインGT-Rに搭載されたRB26DETTに比べて、排気量で400㏄の余裕があるため、低中回転のトルクがあった。1997年のマイナーチェンジでは可変バルブタイミング機構のVVTiも追加された。一方で、レッドゾーンは7000回転弱で、8000回転まで問題なかったRB26と比べると、性格の異なるエンジンであったことがわかる。

 モータースポーツでは、2001年の全日本GT選手権でチャンピオンに輝いたほか、1995年・1996年にはルマン24時間レースにも参戦するなど、モータースポーツ色の強いモデルとしても人気を博した。

2019年発売 5代目

 5代目の大きな特徴は、やはりBMWとの共同開発でプラットフォームを共有している部分だろう。現代のクルマらしく安全性能は非常に高く、コネクテッドサービスにも対応するなど快適なドライブが楽しめる装備が充実している。

 また、2シーター化することによって先代モデルに比べて全長を140mm短くなっているのも、歴代のモデルとは大きく異なる点だ。先代モデルと同様、モータースポーツ分野では2020年のスーパーGT500クラスに参戦している。

最新のスープラは2020年10月に発売

 2020年10月にはスープラの改良モデルが発売される。おもにエンジンの改良となり、RZに搭載される3リッターエンジンの出力を285kW(387馬力)/5800rpmにパワーアップした。従来モデルが250kW(340馬力)/5000rpmだったため、従来比で約14%向上することとなる。最大トルクに関しては500N・mと変更はないが、発生回転数が1600-4500rpmより1800-5000rpmへとわずかに高まった。

 エンジンの出力向上に合わせて、フロント部にはブレースを追加してボディ剛性を強化。さらに、サスペンションも剛性アップに伴って再チューニングを施し、コーナリングでの安定性を高めている。

 また、今回の改良モデルの発売を記念し、RZをベースにした特別仕様車「ホライゾンブルーエディション」を100台限定で設定した。新たに採用した鮮やかなブルーと、マットブラックに塗装された19インチ鍛造アルミホイールという組み合わせが見事にマッチしている。

 インテリアは表皮にアルカンターラとブラック本革を組み合わせたシートを採用。また、シート表皮はもちろんインパネやドアパネル、ステアリングなどにブルーのステッチを施して内外装を美しく仕立て上げた。

 そのほか、2019年の発売時に台数限定で販売されたマットストームグレーメタリックを、今回も限定27台で商談申し込みを受け付けていた。こちらも抽選ののち10月ごろに販売される。

 各グレードの価格は以下となっている(全て税込)。

 SZ 499万5000円

 SZ-R 601万3000円

 RZ 731万3000円※

 RZ ホライゾンブルーエディション 741万3000円

※マットストームグレーメタリックはオプション価格として35万2000円プラスされる

まとめ

 現在の国産車のラインアップで減少の一途を辿っているスポーツモデル。しかし、歴代の伝統を継承しながらトヨタのフラッグシップスポーツカーとして新たに復活を遂げたスープラは、登場前から大注目を浴び、多くのスポーツカー好きの目を釘付けにした。すでに年次改良モデルも発表されており、今後さらなるパワーアップはあるのか、進化が楽しみな一台である。


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