「非装着車」はほぼ見かけない! それでもクルマの「フロアマット」がオプション扱いな理由

フロアマットが値引きの対象になるケースも!

 フロアマットを敷いていないクルマはほとんどないと言っていい。しかし、新車を買ったことがある方ならご存じのように、フロアマットというのは基本的にオプション扱いで、黙って元から付いているものではない。装着率は90パーセント近くとされているのに、なぜ標準装備にならないのだろうか? その理由を考えてみた。

1)選ぶ幅

 女性向けの軽自動車などを見るとわかるのだが、インテリアのひとつとしてフロアマットを重要視していて、雰囲気や色などが違ったものを数種類用意している。普通車では、以前日産のキューブがマイルームをコンセプトとして、お部屋感を強調していて、毛足のとても長いマットを用意していた。キューブのコンセプトに合ったものだったが、短いのがいいという人もいるのは事実で、そうなると数種類から選べるようにしてあったほうがいいということになる。

2)社外品を使う人のため

 社外品でもフロアマットはあって、高級感などを全面に出したものが売られている。しかも車種別なので、フィッティングも問題なし。そちらを選ぶ場合は、当然、純正は要らないということになる。ちなみに自作するからいいという人に会ったことがあるが、耐水性や耐久性、耐火性など、要件はいろいろとあるため、簡単にはできるものではない。

3)値引きの対象

 商談をすると、値引きの話になるのは自然。そこではいろいろな駆け引きが行われるが、その際の値引き品として定番的に使われるのがフロアマットだ。じつは原価はとても安く、ディーラーとしてもあまり懐は痛まないし、気軽に「フロアマットはサービスさせていただきます」と言えるのはメリットだろう。もちろん値引き代わりにしないで、オプションとして買ってくれればディーラーの売り上げになる。

4)車両価格への影響

 クルマの構成部品は約3万点と言われ、それらすべてによって車両価格が決まる。昨今、とくにクルマが高くなったといわれるだけに、少しでも安くしたいし、原価を安くできれば利益も上がる。フロアマットを標準装備にするともちろん車両価格は上がってしまうので、オプションとすることで含めないようにしているという側面もある。フロアマットぐらいと思うかもれないが、クルマの製造コストは何銭単位で考えるので、削れる物は削るのが鉄則。しかも、値引き代わりにマットを付けても、負担はディーラーが負うので、車両価格を決めるメーカーには関係ない。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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レストア、鉄道模型(9mmナロー)、パンクロック観賞
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