なぜ新型登場まで売らない? スバルBRZが早々に生産を終了した理由 (2/2ページ)

次期型の受注が可能になってから販売を終了すべき

 86とBRZの登場は2012年だから、すでに8年を経過する。しかしスポーツカーには熱心なファンも多く、フルモデルチェンジを挟まなくても、前期型のユーザーが後期型に乗り替えることもある。つまりスポーツカーは、基本設計が古くなっても、少数ではあるが安定的に売れるわけだ。

 また販売が中断されると、ユーザーが待ちくたびれたり今後の対応に不安を感じて、ほかの車種に乗り替える心配も生じる。そうなるとユーザー、販売店ともに、途中で生産や販売が中断されるのは困る。

 トヨタはそこに配慮して、86の生産を絶やさず、販売を続けているとも受け取られる。逆にBRZは、メーカーの都合を優先させたことになってしまう。

 最近はスポーツカー以外のカテゴリーも、メーカーの都合を優先するようになった。フルモデルチェンジの直前まで従来型の生産を続けるのは、国内販売台数の多い軽自動車程度だ。ほかのカテゴリーでは、従来型の販売終了と新型の発売時期に開きが生じるが、在庫車はある程度確保しておき、生産を終えてから少なくとも1カ月程度は売り続ける。

 そして販売が終了したときには、次期型の受注を開始する。新型の受注開始と発売の間に数カ月の間隔が生じると、顧客を待たせるから好ましくはないが、ユーザーが購入計画を立てることは可能だ。

 その点でBRZは、次期型が登場することは確実なのに、従来型の生産と販売を終えながら今後のスケジュールは明らかにされていない。このパターンは珍しい。熱心な顧客に支えられているクルマなのだから、現行型の販売を終えて次期型が控えているなら、今後のスケジュールを概略でも良いから明らかにして欲しい。それが顧客に対する礼儀でもあるだろう。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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