レーシングカーで行うタイヤの「暖気」! 市販車でも「やるべき」だった

夏タイヤは外気温が7度以上での使用を想定して設計されている

 レース本番前のフォーメーションラップの際、各選手がクルマを蛇行させているのは、タイヤの温度を保って、作動温度領域を下まわらないようにするのが目的(走行前は、タイヤウォーマーで温めている)。

 タイヤはゴムで出来ているので、冷えているときは固くなり、グリップ力は下がり、熱すぎてもゴムが壊れてブローしてしまう(ゴムの沸点は約120度)。

 その最適な温度はタイヤによっても違い、レース用タイヤはおいしい温度=作動温度領域が狭い代わりに、最大グリップ力が非常に高い。

 その点、市販のラジアルタイヤ(夏タイヤ)は、夏から冬までかなり幅広い温度でそれなりの性能を発揮するように設計されているが、それでも苦手な温度というのはある。

 市販のラジアルタイヤがもっとも仕事をしやすいタイヤの温度は、大体60度~80度ぐらい。

 それより低い温度では、グリップ力も十分ではなく、真冬の走り始めのときは、じつは意外なほど止まらないし、曲がらない!

 夏用タイヤは、基本的に外気温が7度以上の状態での使用を想定して設計されているので、気温が7度以下のときにいつものグリップ力を期待してはいけないのだ。

 したがって寒い日は、少なくとも最初の15~20分間は「急」のつく操作は避け、優しく丁寧な走りでタイヤを温めてあげることが非常に重要。

 タイヤが冷めているときに大きな負荷をかけてしまうと、ゴムがまだ固まっているので、表面にひびが入ってしまったり、ブロックが飛んでしまったり、なにより期待したほどグリップが得られず、スリップしたりすることになるので安全面が非常に不安だからだ。

 以上の理由で、スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤを除けば、寒い時期のタイヤのウォームアップはとっても大切。

 エンジンをかけたら、すぐに走り出してかまわないので、最初の15~20分ぐらいは、エンジン、ミッション、デフなどの駆動系とブレーキなどの暖気を兼ねて、タイヤもじっくり温めてあげよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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