税金の「無駄遣い」か「意味ある」選択か? 公用車に「センチュリー」が選ばれるワケ (1/2ページ)

要人の警護や安全確保という視点で公用車選びは重要

 地方自治体が公用車としてトヨタ・センチュリーを購入していることは、けっして珍しくないのですが、コロナ禍であり、けっして景気が良くないという状況において新たにセンチュリーを購入する事象がいくつか報道されるなかで批判の対象となっています。

 たしかにメーカー希望小売価格1996万2963円という高価なクルマを公用車にするくらいであれば、おなじトヨタであってもカローラならメーカー希望小売価格193万6000円~なので10台は買えるわけです。移動するだけであれば軽自動車も十分なはずです。税金という国民から預かったお金の使い方として、高級車を買うというのは間違っているという指摘はある意味で正しいように思えます。

 とはいえ、そもそも論でいえば首長や議長に公用車を用意する目的はセキュリティのためです。移動中の安全を確保するためには公共交通機関を利用するより専用車にしたほうが警備面で有利になります。

 ちょっと話は変わりますが、かつて銀行が経営破綻寸前になったときに頭取の専用車を廃止したことがありました。しかし、電車移動時のセキュリティを確保するために複数のSPを雇う必要があって、結果的に高くついたという笑い話もあります。

 ですから、ある程度のセキュリティを考えると専用の公用車を用意するというのは合理的なのです。そうした安全面でいえばコンパクトカーよりも大きくて重いクルマのほうが衝突など事故に遭った際の被害も最小限に抑えることが期待できます。ですから、センチュリーはやり過ぎという声はあるかもしれませんが、ある程度のVIPを乗せるクルマであればEセグメント以上の乗用車を選ぶというのは妥当な判断といえるのではないでしょうか。

 いってしまえば、トヨタでいえばクラウンを選んでおけばいいといえますし、最近では車内でのミーティングなどもしやすいアルファードのようなミニバンを選ぶのもありという風潮になっています。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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