何百万もの「買い物」なのになぜ「数千円」のサービスがない? 新車の納車時に「ガソリン残量」がわずかな理由

何百万もの「買い物」なのになぜ「数千円」のサービスがない? 新車の納車時に「ガソリン残量」がわずかな理由

全車満タンにしていたら膨大な経費となってしまう……

 新車納車時に、セールスマンに「ガソリンは少ししか入っていないので、すぐ給油してくださいね」といわれた経験のあるひとも多いはず。排気量の大小などで多少調整しているようだが、納車時にはおおむね5リットルから10リットルぐらいの給油量が一般的となっているようだ。

 仮に1リットルあたりのレギュラーガソリンの価格を130円とすると、5リットルならば650円となるので、「もう少し入れてくれてもいいのでは?」と考えるひとも多いだろう。しかし、新車を数多く販売しているディーラーにとっては、「わずか5リットル、されど5リットル」なのである。

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 たとえば、ディーラー全体で販売担当エリア内に30店舗を展開しているとする。そして、それぞれの店舗に6人の販売スタッフがいれば、セールスマンの数は合計で180人となる。実際はこれに、法人向け営業を専門とする“特販部”などもあるが、今回は180人とする。そして、1カ月のセールスマンひとり当たりの受注台数を5台とすると、このディーラーは月販900台となり、年間では1万800台となる。

 ここで前述したように、納車1台あたり5リットルのガソリンを給油すると、年間でのディーラーの納車時ガソリン代負担は702万円となる。ちなみに年間1万800台を販売したとして、それらのクルマすべてをそれぞれ満タンにしたときの給油量を台当たり平均45リットルとすると、年間6318万円もの経費負担に。さすがに個々で無料にてガソリン満タンにして納車するというのは、現実的なものとはいえないだろう。

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 新車販売だけではもはや食べていけず、点検・整備などのサービス業務と、タイヤなどの物販を熱心に行うディーラーとしては、仮に年間700万円としても、バカにならない“経費”である。ただ、ここで「絶対に無料で満タンにはならない」ともいい切れないので、交渉するときには前述した経費負担の数字を頭に入れた上で交渉してほしい。

 大昔に、「ガソリン満タンサービスしますよ」とセールスマンが言ってきたときには、たいていはセールスマン個々が自腹をきっていた。一部のケースでは、まだ経費管理が厳しくなかったので、ケースによっては15リットルや20リットルの伝票を勝手にきっていたこともあったようだ。しかし、セールスマン自体も以前に比べれば収入は激減しているので、自腹を切る余裕などもないのが現状であるし、経費管理も厳しくなっているなかでは、いまでは状況は厳しいようである。

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 ただ、ディーラーによっては、ディーラーオプション計上欄に“納車時ガソリン満タン”というコードを設け、原則は購入者が満タンを希望したときの“有償サービス”としているようだが、その分を全体の値引きアップで相殺することもあるようだ。

 事情通は「納車時ガソリン満タンサービスにこだわるお客は、意外なほど多いです。そこで“OK”が出たときは、セールスマンが自腹をきっていたり、かなりレアケースとして処理されているケースがほとんどでしょう」と語ってくれた。

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