「セナプロ時代はよかった」「いまのF1はつまらなくなった」の声は真実を捉えているのか? (1/2ページ)

ハイテク化が進む現代のF1マシンも魅力は十分!

 その理由として彼らが挙げるのが「セナ・プロ時代のほうがドライバーに個性があった」とか、「今のF1はレギュレーションが細かすぎてマシンに個性がない」など。さらに「今のF1は電子制御になっているけれど、昔のF1マシンはアナログ的で運転が難しかった。それだけにドライバーのレベルも高かった」などの声も聞こえてくるが、果たして今のF1は個性がなく、レベルも低いものなのだろうか?

 筆者はF1ジャーナリストではないので、現場の状況は良くわからない。しかし、関係者に話を聞く限り、決して今のF1は個性がないわけでもないし、レベルが低いわけでもない。世界最高峰のシリーズとして、いまもハイレベルのバトルが展開されている。

 確かにエキゾーストサウンドに関しては、ひと世代前のF1マシンと比べると現在のF1マシンは迫力不足が否めない。さらに1980年代後半から1990年代にかけては20チーム前後、計40台前後のマシンが集結し、“予備予選”を行うほど活況を極めていたことから、最近の10チーム・計20台のF1と比べると寂しい状況にはあるが、それでも十分にコンペティティブであると思う。

 それにドライバーの顔ぶれに関してもルイス・ハミルトン、セバスチャン・ベッテルといったチャンピオン経験を持つベテランからシャルル・ルクレールやジョージ・ラッセルなどフレッシュな若手ドライバー、さらに元F1ドライバーのヨス・フェルスタッペンを父に持つマックス・フェルスタッペンやWRCで活躍したカルロス・サインツを父に持つカルロス・サインツ・ジュニアら二世ドライバーが参戦しているだけに、現在のF1も十分に個性的なラインアップだと言えるだろう。

 しかも、現在のF1はエネルギー回収システムを持つハイブリッドマシンで、ドライバーにはシフト変更のほか、ブレーキバランスの調整、ディファレンシャル変更、ディスプレイ表示の変更など複雑な操作が求められてくる。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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