激しい走りをしたあとに聞くブレーキの「キャリパーが開く」とはどういう症状?

激しい走りをしたあとに聞くブレーキの「キャリパーが開く」とはどういう症状?

ブレーキの利きが悪いときはパッドが偏摩耗していることが多い!

 サーキットなどでブレーキを酷使したときに、ブレーキペダルを踏んだときの剛性感がなくなった、効きが悪くてストロークが増えたと感じるときがある。

 これらの症状を、よく「キャリパーが開いた」という。

 ディスクブレーキの場合、ブレーキペダルを踏むと、油圧でキャリパー内のピストンがパッドを押しだし、パッドがローターを挟むことで作動する。このときキャリパー内のピストンは、パッドを押し出す力と同等の反力でキャリパー本体を開こうとする。

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 この力に負けて、コの字だったキャリパーの内側が、ハの字に開いてしまったとしたら、ペダルストロークは増え、パッドのあたり方は不均一になり、上掲のような症状が出てもおかしくない。

 しかし、実際にスチールやアルミのブロックでできているキャリパー本体が開いて変形するとしたらかなりの一大事といっていいし、キャリパーを変形させるほどの油圧がかかれば、その前にシールやホース、つなぎ目が悲鳴を上げるはず……。

 にもかかわらず「キャリパーが開いた」といわれるのは、そうした症状が出たクルマのブレーキを分解してみると、パッドが偏摩耗していることが多いため。

 どう偏摩耗しているかというと、ローターを挟むコの字のキャリパーの底側が多く摩耗し、コの字の先端側のパッドの減りは少ない。だからコの字が開いてハの字になったように思えるというわけだ。

 しかし、ローターには直径があって、内側と外側では円周が違う。そのローターを同じ力で挟んだら、円周が大きく、より接している時間が長い、ローターの外径側に当たるパッド部分がより多く減るのは道理に合っているわけで、本当にキャリパーが開いたから偏摩耗したと考えるのは早計だ。

 そう考えると「キャリパーが開いた」と感じる症状の正体は、このハードブレーキによるパッドの偏摩耗が原因で、偏摩耗したパッドがキャリパーのピストンの動きを悪くしていると思っていい。また、ピストンに汚れやサビ、傷などがついた場合も、ブレーキの利きやペダルタッチが悪くなることも考えられる。

 したがって、「キャリパーが開いた」と感じたら、まずはキャリパーをオーバーホールして、偏摩耗したパッドを新品に交換。またローターの表面も不均一だと偏摩耗の原因になるので、研磨をかけるか、新品に交換するといい。

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 もっとも数字的な変形量は確認できなくても、高熱にさらされたときの「剛性感」は、キャリパーによって違いがあるのはたしか。

 キャリパーをオーバーホールしても剛性感が戻らない、剛性感が足りないという人は、モータースポーツ用の高剛性キャリパー(モノブロックなど)に交換するしかないだろう。

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