「据え切り」は本当にやってはいけないのか? 昔からある「噂」の真相とは (1/2ページ)

いまのクルマは据え切り前提で作られていると言ってよい

 クルマを停車させたままハンドルを切る、いわゆる「据え切り」。この据え切りは、ステアリング系への負荷が大きく、タイヤにもダメージを与えるので、タブー視するする声が多く聞かれる。とくに中高年のドライバーは、パワーステアリングがない時代のクルマを知っていて、パワステなしで据え切りをするのには、非常に大きな力が必要だったことを覚えているので、据え切りの負担の重さが身に沁みている。その経験から、「据え切りはクルマによくない」と考えるのは自然なことだろう。

 また、油圧式のパワステが普及したあとも、据え切りを多用したり、ハンドルを目一杯切った状態を数秒間キープすると、ポンプに大きな負荷がかかり、フルードにキャビテーションが生じて一時的にパワステが効かなくなったり、パワステフルードがリークするといった問題もあった。

 では電動パワステが主流になった最近のクルマの場合どうなのか。

 じつをいうと、近年、クルマのボディサイズはどんどん大型化してきている。それに合わせ、最小回転半径も大きくなってきているのが現状だ。最小回転半径は、一般的に5m以下だと小まわりがきくといわれているが、今のクルマは5.3mが普通。日産ジュークやホンダ・ヴェゼル、ホンダ・シビック、トヨタ・カローラスポーツ、スバル・インプレッサ、マツダMAZDA3,マツダCX-3あたりの最小回転半径が5.3m。トヨタ86やトヨタ・プリウスPHVやだと5.4mで、日産V37スカイラインやスバルのWRX STI、トヨタ・アルファードやトヨタ・ヴェルファイアだと5.6mもある。

 クルマは大きくなっても、道路の幅は変わらないし、駐車場が狭いクルマも多いので、今のクルマはある程度据え切り前提で作られているといってもいい。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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