日本カー・オブ・ザ・イヤーで「ディフェンダー」にトップ配点! レーシングドライバーが「意外な」評価をした理由 (2/2ページ)

運転アシスト機能は今やスタンダードだと考える

 レヴォーグは優秀なクルマであり、ハンドリングも質感も素晴らしいことに異論はない。しかし、2016〜17年度のCOTY本賞を授賞したスバル・インプレッサスポーツ/G4の時以上の強いインパクトを感じ取れなかったのだ。水平対向エンジンの進化はあるものの、左右シンメトリーレイアウトとワゴン形式ボディによる優れた重量バランスはスバル車の伝統的な美点であり、今回のレヴォーグはそれを引継いでいるものの、それ以上の特別なものとはなっていない。

 また、運転アシスト機能である「アイサイト」が完成度を高め、実用領域で役立つレベルに達しつつあることも承知しているが、運転アシスト機能はABSやトラクションコントロール、エアバックなどと同様にこれからのクルマのスタンダードとなるべき装置であり、配点理由に含むべきではないというのが持論としてあった。すでにアイサイト以上の性能を示す運転アシスト機能を標準で備える輸入車も多く存在している。

 またインポート・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたプジョー208/e-208にも配点しなかった。理由はEAT8と呼ばれる208の新世代8速ATの制御が、どうひいき目にみても日本の市街地使用に適合していないと感じられたからだ。ストップ&ゴーが頻繁に求められる渋滞地域で減速から加速に転じる際の変速遅れがエンジンのヘジテーション(息つき)のように感じられ、機敏に走ることができなかった。e-208に関しては試乗することはもとより、見ることもできなかったのだから評価しようがない。

 また試乗で訪れたプジョーのディーラーで受けた扱いに、この会社は日本のユーザーに根付くサービス意識が低いのではないかと感じさせられたのも一因だ。クルマの出来具合はもちろんだが、ユーザーに対するきめ細やかで真摯な姿勢で日本のユーザーの声に耳を傾けなければ、日本で好まれるクルマを作れるはずがない。僕は幼少期に仏語を学び、仏国歌「La Marseillaise(ラ・マルセイエーズ)」をそらでも歌えるほどじつはフランス贔屓だったのだが、COTYでの評価に関しては贔屓目で見るわけにはいかない。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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