日本を「向いている」ことが強みのひとつ! コロナ禍でもトヨタだけが業績好調なワケ (1/2ページ)

トヨタで働くひとたちが強くなったことが危機的状況で有利に

 いわゆるコロナ危機は経済を直撃している。しかし、日本トップの自動車メーカーであるトヨタは前年比では落ち込んでいるものの、コロナ禍というイメージに反して着実に回復している。2020年5月に発表した2021年3月期の通期営業利益の見通しは5000億円だったが、11月にはそれを1兆3000億円へと大幅に上方修正したほどだ。

 こうした状況について、豊田章男社長は第2四半期決算発表において「この6カ月間の頑張りもさることながら、これまでの11年間の取り組みにより、トヨタという企業が少しずつ強くなってきたからだと思います」と総括している。

 11年前の2009年といえば、まさしく豊田章男氏が社長に就任した年。その6月ごろはリーマン・ショックの影響による販売の大幅減は創業以来の赤字につながってしまったし、またアメリカでは品質問題になって豊田章男社長が公聴会に呼ばれるほど踏んだり蹴ったりだった。まさしく、どん底だったのだ。

 トヨタほどの大企業だけに失うものはないとは言えなかっただろうが、それでも2009年の状況は、調達・開発生産・販売ほかすべてにおいて日々”カイゼン”を進める強いインセンティブになったことは間違いない。そうした11年間の変化について豊田章男社長は「資金面や収益構造が強くなったということもありますが、一番は、トヨタで働く人たちが強くなったことだと思います」とも表現している。

 トップがこうして“働く人”たち一人ひとりを信頼する姿勢、表向きのポーズと批判したくなるかもしれないが、これこそがトヨタがほかの自動車メーカーと違うポイントといえる。信頼しているから、任せることができる。カンパニー制をとってスピーディな判断ができる体制としていたことも、こうした危機的状況において有利に働いた。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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