給油口と違ってノーズに設置するクルマも! EVやPHVの「充電口」の場所がバラバラな理由 (2/2ページ)

国ごとに違う駐車事情も大きく関わっている

 一方で、たとえばi-MiEVの場合は、もともとガソリンエンジン車のi(アイ)が客室の後ろにあるリヤエンジン車かつ後輪駆動だったので、その替わりにモーターなどの駆動系と制御機能を配置したことから、リヤフェンダーに充電口を設けたほうが合理的であった。またそうすれば、ガソリンの給油口を充電口に利用でき、車体外板を特注する必要もない。

 前からの駐車か、後ろからの駐車かは、クルマを使う地域の習慣によって異なり、それは単に人間の行動様式だけでなく、土地の広さなど道路事情も関わる。たとえば米国のカリフォルニアなど広大な土地では、なにも後ろから駐車しなくても、出かける際に後退して道路に出るとき左右の見通しが比較的よいので、安全確認もしやすい。一方、日本のように道路が狭く密集するような土地柄では、後退で駐車しておいた方が出かける際の安全確認をしやすいだろう。

 欧州では路上駐車が認められているので、車庫というより路上駐車で便利な位置に充電口を設けることになるはずだ。車道側に充電口があると危険で、不都合でもある。

 EV自体がまだ導入されて間もなく、なおかつ充電設備の設置の仕方も模索しながらの展開で、急速充電器も施設の空いた場所になんとか設けるといった事情もあるだろう。EV専用車が増え、充電の社会基盤が整備されていくうちに、EVに最適な充電口の設け方が定まっていくのではないか。また非接触式の充電が実現しても、非接触式充電の受け口を、車体床下の前へ設けるか、後ろに設けるか、議論の的になるはずだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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