中身はドイツ! デザインはイタリア! 世界をざわつかせた「カルマンギア」という衝撃の名車

20年間生産されたロングセラーモデルだった

 自動車としては世界で最多の累計生産台数2152万9464台を記録した歴史的な大衆車である、フォルクスワーゲン・タイプ1。多くの読者にとっては「ビートル」という愛称のほうがわかりやすいかもしれない。

 そんなタイプ1からは数多くの派生車種が誕生しており、こちらも「ワーゲンバス」の愛称でお馴染みのタイプ2(トラックも存在)や、軍用車へと転用することを目的に開発された「キューベルワーゲン」など、さまざまなモデルが存在している。

 それらの派生車種のなかでも、ひと際美しいボディラインを持ち、実用車とは違った魅力を放っているのが、クーペボディ(およびカブリオレ)をもつ「カルマンギア」だろう。

 このカルマンギアは、ほかの派生車種と同じく基本的なシャシーやパワートレインなどはタイプ1のものを流用しながら(一部変更されている点もあるが)、ドイツのコーチビルダーであるカルマン社と、イタリアのカロッツェリアであるカロッツェリア・ギア社が作り上げたもので、1953年にプロトタイプが完成。そして2年後の1955年に市販されたものだった。

 さらに2年後の1957年にはルーフを取り去ったコンバーチブルモデルも追加。これらのモデルはスポーツモデルと呼べるほどの動力性能は持ち合わせていなかったが、その流麗なデザインから一定数の評価を勝ち取り、1975年まで生産されるロングセラーモデルとなったのである。

 ちなみに1961年にはより大きな排気量(1.5リッター)のエンジンを搭載した「ビッグカルマンギア」と呼ばれる派生車種も登場したが、従来のカルマンギアほどの支持は集められず、本家よりも早い1969年に姿を消している。

 なお、カルマンギアはその長い歴史のなかで細かな改良がなされており、年式によってディテールに違いがあるのはベースとなったタイプ1と同様といえる。また、生産終了後にカルマンギアのボディを再現したレプリカのボディキットもリリースされていたため、オリジナルにこだわるのであればその辺りもチェックしたいところだ。


小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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愛車
日産リーフ(2代目)/ユーノス ロードスター/マツダ・ロードスター(2代目) /ホンダS660/ホンダ・オデッセイ(初代)/ 日産パルサー(初代)
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長距離ドライブ
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