コンパクトカーのメリットと選び方を解説 (1/3ページ)

コンパクトカーは日本で圧倒的な人気を誇るジャンル

 コンパクトカーは日本でも大人気のジャンルである。しかし明確な定義はなく、世界的にみれば地域によってコンパクトカーに含まれるクルマが異なってくるのが現状だ。ここでは日本市場において一般的にコンパクトカーと呼ばれるクルマたちについて解説していきたい。

■コンパクトカーとは?

 前述したとおり、たとえばセダンやオープンカーといった、ボディタイプで明確に分けられるジャンルと違い、コンパクトカーはハッキリとボディサイズやボディ形状が定められているわけではない。だが一般的には、Bセグメントの2BOX、ハッチバックモデルをコンパクトカーと呼ぶことが多い。ではBセグメントとは? と言われると、これも明確に定められているわけではなく、概ね全長が4200mm以下のクルマを指すことが多い。

 また、2BOXのハッチバックスタイルをもつSUVはどうか? というと、これもコンパクトSUVと呼んだり、大きくコンパクトカーのジャンルに含めたりすることもある。さらに複雑化しているのは、SUV自体が決してクロカン4WD車的なものばかりではなく、最近はクロスーバーSUVと呼ばれる、クーペ的なSUVや通常のハッチバック車寄りのSUVも多く登場していることだ。だが今回は、概ね最低地上高が170mm未満程度の2BOXハッチバック車をコンパクトカーとして扱いたいと思う。

 ボディタイプでいえば、Sクラスと呼ばれる小型のミニバンも存在するが、3列シートをもつモデル、もしくは3列シート車を2列シート化した派生モデルは省いて考えたい。

 さらにドアの枚数についても、国産車は5ドアであることが多いが、輸入車では3ドア車もかなり見られるのだが、これについてはどちらもコンパクトカーとして見て問題ないだろう。

 そうしたコンパクトカーには国産メーカー、海外メーカーともに力を入れており、多数のモデルが日本市場で販売され、販売台数ランキングの上位を占めている。

■コンパクトカーのメリット

‐ 経済性

 日本でコンパクトカーが人気の理由は、いの一番に経済性だろう。とくに新車購入時にもっとも重要視される車両本体価格は、たとえばトヨタのパッソであれば、120万円弱(X 2WD)から。やはりいまの流れである電動化車両を選択したいと考え、フルハイブリッド車のトヨタ・アクアを見ても、182万円弱(L)からというプライスだ。国産メーカーのコンパクトカーであれば、概ねこのように、100万円台前半から、上級グレードであっても200万円台前半に収まっていることが多いため、若者から子育て中のファミリー層まで無理なく購入しやすいといえる。

 加えて維持費も比較的安く抑えられる。トヨタのアクアやヤリス、ホンダ・フィットなどのフルハイブリッドモデルを選べば、WLTCモードで30km/L前後の数値を出すグレードも多く、ガソリンエンジンモデルでも、同じくWLTCモードで20km/L前後の数値となる。国産モデルであれば基本的にはレギュラーガソリンであるため、日々の燃料代の負担は少ない。

 もうひとつ、毎年かかってくる自動車税も負担は少ない。排気量が増えるごとに税負担が大きくなる仕組みだが、コンパクトカーは1リッターから1.5リッター程度のエンジンを積むことが多く、その場合660cc超から1000cc未満の2万9500円、もしくは1000cc超から1500cc未満の3万4500円のどちらかになる。

 さらに、タイヤサイズも小さめで、排気量が小さいためにエンジンオイルの量も少なめなど、消耗品や交換パーツの費用も抑えられるのだ。

‐ サイズ

 ボディサイズの小ささも大きなメリットだろう。日本は道路も狭く、国土の関係から住宅事情が厳しいために駐車場が狭いケースも多い。冒頭に記したとおり、ここでいうコンパクトカーは全長4200mm以下というサイズで、国産車の場合は全幅も5ナンバーサイズに収まる1700mm以下が大半となる。自宅はもちろん、出先でもほとんどの駐車場に余裕をもって停められるだけでなく、狭い市街地のすれ違いなども容易で運転がしやすいのだ。

‐ エンジン&パワーユニットの性能が高い

 コンパクトカーは老若男女、幅広い層に購入され、それゆえさまざまな使い方をされるだけに、各メーカーエンジンやハイブリッドのパワーユニットの性能追求に余念がない。

 ひとつは先に記したとおりの燃費性能だ。経済性が重視されるジャンルだけに、市街地から高速、ワインディングなど、さまざまなシーンで良好な燃費を示す。

 加えて、コンパクトカーよりもさらに小型の軽自動車はセカンドカーとして使われることも多いが、コンパクトカーはファミリー層のファーストカーとしてチョイスされることもよくみられる。そうなると、ときには家族4〜5人で乗車することもあるだろう。もちろん、エンジンやパワーユニットの選択肢が複数あるモデルもあるため、何を選ぶのかにもよるが、ほとんどの車種が、フル乗車でも十分なパワー&トルクを発揮するユニットを用意している。

■コンパクトカーのデメリット

-クルマの質感

 クルマの上質さという意味でいえば、一概には言えないものの車両価格に比例する。じつはいま、コンパクトカーよりも車格が下である軽自動車の車両価格が上がっており、車種にもよるが軽自動車とコンパクトカーでオーバーラップしている。軽自動車は同一メーカーであれば、車種は違えど基本的な部分でエンジンやトランスミッションを共通化し、せいぜいターボとNAの2種を用意する程度だ。つまりその部分でコストダウンできる。

 一方でコンパクトカーは、トヨタという例外はあれど、同一メーカーで複数車種をラインアップすることが少ないため、パワーユニットの部分でコストダウンすることが難しい。もちろん、セダンやSUVなどと共通化することはできるだろうが、それでも軽自動車に比べれば不利なのだ。つまり、もし軽自動車とコンパクトカーで同一の価格のクルマを比較すると、内装の装備などで軽自動車に負けることも考えられる。

 さらに、静粛性や振動といった走りの質感という意味では、各メーカー頑張ってはいるものの、当然車格が上のクルマには勝てない。

-室内の広さ

 これは完全に車種によるものの、コンパクトカーというジャンルに含まれる車種のなかには、大人4人乗車での長距離移動が厳しいものもある。

 さらにラゲッジでいえば、後席を前倒しすることで容量を拡大できるものの、4人乗車時に後席を使用した状態だと、あまり荷物が載らない車種も多い。

-車種のかぶり

 コンパクトカーは、日本で人気が高いジャンルのひとつである。それゆえに多くの車種が販売されているものの、どのモデルもかなり売れているため、隣近所はもちろん、街を走っていても、大型ショッピングモールの駐車上に停めても、同じ車種を見かけることが多い。個性を主張したい人にとってはデメリットとなるだろう。


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