ズバリ買うべきはどっち? 攻めのヤリスと癒しのフィット徹底比較10番勝負! (1/2ページ)

キャラクターが大きく異なる注目の2台!

 2020年は国産コンパクトカーの大豊漁祭と言える1年だ。もっとも身近なBセグメントに、ホンダ・フィット、トヨタ・ヴィッツの後継車となるヤリスが登場。これまでのライバル関係が、さらに過熱することは必至と言える。そこで、ここではフィットとヤリスの10番勝負を行ってみた。

1)エクステリア対決

 両車のルックスは対照的と言える。そう、攻めのヤリスと癒しのフィットという関係だ。街中で見ても、鮮烈な色味も用意するシャープなヤリスが目立つ。

 一方、心地良さをテーマとしたフィットはほのぼのとした存在感。これは好みで、どちらが優れているという勝負にはならない。

2)インテリア対決

 では、インテリアはどうか。この項目では、BASICグレードを除くフィットの上質感、優しい色使いをメインとした心地良さが優位と感じる人が多いはずだ。言い方を変えれば、スポーティーテイストが好みならヤリス、クルマでの移動中でもリビングルームにいるような感覚でいたいならフィットである。

 とくにフィットのインパネ周りのファブリック使いの巧みさは、これまでの国産コンパクトカーの常識を覆すものだ。

 さらに、低く、横一直線のインパネ上面と極細Bピラーによる前方、斜め前方の、まるでロマンスカーの最前列席のようなパノラマ視界は斬新。ほかでは見られない運転視界を提供してくれる。

3)走り対決

 新型フィットはすべてに心地よさというテーマを貫いている。ホンダらしいイケイケな走行性能は影をひそめ、1.3リッターガソリン、1.5リッターのハイブリッドとともに、とにかく自然で心地よい、穏やかさある走りが魅力。

 一方、ヤリスはMTを用意し、GRモデルのベース車両にもなっていることからも想像できるように、実用コンパクトカーながら、トヨタ最新のプラットフォーム、TNGA採用のスポーティーなテイストも魅力のひとつ。

4)パッケージング対決

 室内空間はセンタータンクレイアウトのフィットが後席を含め有利なのは当然だ。とくに後席の広さ、先代よりシートに厚みを増した分高まったとはいえ、後席格納時のフラットなフロアの低さは、依然圧巻。リヤドアから重い荷物を出し入れする、大型犬などのペットを乗降させるのも快適そのもの。この要件では世界のコンパクトカートップレベルと言っていい。

 ヤリスは前席優先のパッケージを特徴とする。後席にも十分なスペースがあったヴィッツより前後席間距離が縮まり、なおかつヒール段差(フロアからシート座面までの高さ)も減っているため、かけ心地は窮屈。後席の広いクルマを望むなら、ルーミーなどのパッケージ至上主義のコンパクトカーをどうぞ……ということかもしれない。

5)燃費対決

 最新のコンパクトカーだから、燃費性能は悪いはずもない。フィットはJC08モードより実燃費に近いWLTCモードで、1.3リッターガソリンが最高20.4km/L、実際の基準グレードのHOMEで20.2km/L。e:HEVと呼ばれるHVは最高29.4km/L、HOMEで28.8km/Lだ。開発陣の言葉によれば、燃費性能を追求するより、走りの心地よさを優先した、ということだ。

 一方、ヤリスは1リッターガソリン、1.5リッターガソリン、1.5リッターのHVを用意。WLTCモードは1.0リッターで最高20.2km/L、1.5リッターのCVTで最高21.6km/L、同6速MTで19.6km/L、1.5リッターエンジン+2モーターのHVは最高36.0km/Lとなる(すべて2WD)。つまり、とくにHVのカタログ値の燃費性能では、ヤリスが優位ということになる。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報