昔から速さの指標は筑波のタイム! 関東のマイナーサーキットがタイムアタックの聖地となったワケ

筑波サーキットは東京から近い本格的なサーキットだ

「筑波サーキット最速タイム」「筑波サーキット何秒」というのは、今も昔もクルマ好きにとって大きな意味のある数字といえる。

 というのも新型のスポーツカーや新しいタイヤが登場したとき、自動車専門誌などがその性能をタイムで比較する舞台となってきたのが、筑波サーキットのコース2000だったからだ。

 筑波サーキットのほかにも、富士や鈴鹿など、もっと設備の整ったサーキットがほかにあるのに、なぜタイムアタックといえば筑波なのか。

 まず、地理的に東京から近い本格的なサーキットというのが大きな理由として挙げられる。自動車専門誌などの編集部は東京都内に集まっていて、取材のために各自動車メーカーから貸し出されるいわゆる広報車の受け渡し場所も都内がメインなので、東京から日帰り圏内であることは、テストステージとして大事な要素になる。

 今でこそ、ハイパフォーマンスカーのテストコースとしてはコンパクトすぎるというイメージがあるかもしれないが、かつてはグループAレースやJTCC、全日本F3など全日本格式のレースも開催されており、サーキットとしての格付けも決して低くはなかった。

 また、20年ほど前までは同じ茨城県のつくば市に、日本自動車研究所の高速周回路、通称「谷田部のテストコース」があり、最高速やゼロヨンなどのテストはこの谷田部でおこない、ハンドリングやトータル性能は筑波サーキットで確認するのが定番でもあった(谷田部のテストコースと筑波サーキットは、約20kmしか離れていない)。そういう意味でも、ハンドリング系のチェックには、テクニカルなコースレイアウトが特徴の筑波サーキットがむしろ適していたという面もある。

 さらに運営組織が営利団体(株式会社)ではなく、一般財団法人日本オートスポーツセンター(JASC)ということもあり、コースの専有料や走行料が比較的安価なのも重宝される大事なポイントにもなっている。

 これらの理由から、多くの自動車媒体が筑波サーキットでサーキットテストを実施し、それらのデータが積み重なることで、「市販車最速なら何秒」「2リッタークラスで何秒なら速い」「ライバルより何秒遅い」「モデルチェンジ前と何秒差」といったことが、多くの人にピンとくる。こうしたサーキットはほかにはないので、筑波サーキットのラップタイムは、これからもベンチマークテストの指標として注目され続けるに違いない。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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