メーカー純正でコラボ採用の「シート」と「ブレーキ」は圧倒的に「レカロ&ブレンボ」! ここまで「偏る」理由とは

モータースポーツでの実績や知名度、ブランド力は抜群!

 クルマの部品はおよそ3万点といわれているが、そのなかで同じ標準装着パーツでも、普通の純正パーツのほかに、パーツメーカーのブランドが強調されることで、商品性が高まるスペシャルなパーツがある。

 たとえばビルシュタインのダンパーや、モモやナルディのステアリング、そしてレカロのシートにブレンボのブレーキなどだ。

 このなかでとくに人気が高いのが、レカロのシートとブレンボのブレーキ。

 シートにしてもブレーキにしても、有名ブランドはほかにもあるのに、なぜ自動車メーカーが純正採用するのは、この二社に集中するのだろうか。

 まずいえるのは、モータースポーツでの実績や知名度、ブランド力が抜群だから。

 メーカーにしても、せっかく純正採用し、カタログにも「●●製シート、●●製ブレーキを採用」とうたう以上、その価値観をユーザーと共有できなければ意味がない。そういう意味で、乗り物用のハイスペックシートでは、レカロ以上に知名度が高いメーカーは見当たらない。

 レカロは旅客機のシートなども手がけているし、最近では東北新幹線はやぶさのグランクラスのシートにも採用されて話題になった(新幹線では運転席もレカロの採用例がある)。もちろん、人間工学に基づいた腰痛防止、疲労軽減のシートとして、ポルシェやベンツの市販車や、多くのレーシングカーにも採用され、実績、クオリティともに比類ない。

 クルマ好きなら誰もが一目を置くブランドなので、「純正でレカロシートを採用」となると、お買い得感があり、購買意欲が加速する。

 ホンダのタイプRシリーズや、三菱ランサーエボリューション(ランエボ)、スバル・インプレッサ、スズキ・スイフト、スズキ・アルトワークスなどの純正レカロが知られているが、かつてはダイハツ・シャレード デ トマソや、いすゞジェミニ、いすゞビッグホーン、トヨタ・ハイラックスサーフにもレカロシートの装着車があった。

 このように多くの車種に採用されたのは、知名度と人気だけでなく、それだけの量産体制を持っていたというのも大きい。受注数を納期までにおさめられなければ、いくらメーカーが採用したくても、契約するには至らないだろう。もちろん予算面をクリアするのも重要だ。

 そうした諸条件をクリアできるブランドシートとなると、今のところレカロ一択になるということだろう。

 ブレーキの方も基本的な事情は同じ。ブレンボのほかにも、APロッキード(現APレーシング。2000年にブレンボ社に買収された)やイギリスのアルコンなどレースの世界で実績のあるメーカーはあるし、日本の曙ブレーキもF1のマクラーレンチームにブレーキシステムを供給し、アフターパーツではエンドレスなども有名だ。

 しかし、高性能ブレーキを量産車用にある程度まとまった数で供給できるとなると、ブレンボが抜きん出た存在だ。

 国産スポーツカーに純正採用されたブレンボのブレーキは、住友電気工業(現・アドヴィックス)によってライセンス生産されたものも多いが、イタリアのブレンボ本社が認めた正規の製品には間違いない。

 かつて、三菱のGTOが、N1耐久レースのことを考えて、APロッキード製6ポットキャリパーをオプションで用意したことがあったが、あれは例外中の例外(価格も70~80万円だったはず)。ランエボにもAP製のブレーキを、という話もあったそうだが、当時は量産体制が整わず、実現に至らなかったといわれている。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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