より実用的な指標に変わった! かつてクルマ好きを熱狂させた市販車の「ゼロヨン」タイムが消えたワケ (2/2ページ)

エコカーブームによって限界性能は重視されなくなってきた

 また、21世紀になってからのエコカームーブメント、すなわちハイブリッドカーの流行や燃費性能へのニーズの高まりに合わせて、限界性能の優劣はさほど気にしないという風にユーザーマインドが変わっていったことも関係しているだろう。

 とはいえ、世界のスーパースポーツカーにおいてはゼロヨンを意識した機能を備えているマシンも多い。その機能とは一般に「ローンチコントロール」と呼ばれるもので、最高のゼロ発進性能をクルマが自動的に行なうというもの。

 2ペダルのスポーツカーであれば、特定のモードにしてから、左足でブレーキを踏み、右足でアクセルペダルを目いっぱい踏み込みエンジン回転が指定値に達したあたりで左足から力を抜けば、最適なトラクションをコントロールして最高のスタートダッシュを切ることが可能になっている。

 そして、マニュアルトランスミッションのクルマではスタートでのクラッチワークにドライバーの差が出るもの。こうしたローンチコントロールがついているクルマであれば、どんなドライバーでも同じタイムが出ると思ってしまいがちだが、じつは違っていたりする。

 たった400mといっても、クルマが全開加速するときにはどうしても左右に振られてしまう部分はあるし、まっすぐに走っているつもりでも少しでもステアリングが切れた状態ではゴールまでの距離が微妙に伸びてしまう。そのため、オートマ車であっても意外にドライバーの差が出る計測方法だったりするのだ。

 ちなみに、ローンチコントロールについては駆動系にとてつもない負担がかかる。そのため、何度もローンチコントロールを利用するとクラッチなどのメンテナンスが必要になることもあるので、ローンチコントロールがついているクルマであっても安易に試すのは避けておくのが吉だ。そもそも数百馬力のスーパースポーツのローンチコントロールを公道で利用することは、危険すぎるのは言うまでもない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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