実際の風景に案内を表示する画期的機能! 新型SクラスがOP採用した「ARナビ」の実用度とは (2/2ページ)

視界への慣れや夜間に見づらいなどのデメリットはある

 ではARとして新たに追加された表示はどうか。この表示は方角を常に示すのではなく、右左折などの案内が必要なときになると連続する矢印がアニメーションとなって進行方向をガイドする。純正だけにキャリブレーションもしっかりと合わせ込んであり、進むべき方向へと矢印が正確にガイドするのがわかる。従来の方面ガイドに加え、この矢印の動きがより確実なガイドとしてサポートすることは間違いないだろう。

 ヘッドアップディスプレイそのものの表示は、液晶表示を反射して投影している割には十分に鮮明だ。文字の解像度も高く、ACCなどで設定した速度やナビゲーション中の交差点名案内もしっかりと読み取ることができる。レイアウトもわかりやすく、多くの表示のなかから必要な情報を抽出するもたやすそうだった。

 気になる点としては、視界のなかで矢印が動き回るために慣れないと違和感を感じてしまうことがある。分岐点までの距離に応じて矢印のサイズや数も変化するため、個人的な感想としては少々落ち着かない印象を受けてしまった。また、外光の影響も受けやすいようで、とくに夜間で先行車のテールランプと重なると矢印が見えにくくなる。ヘッドアップディスプレイ自体の位置は変えられるので、この影響が少ない位置に設定しておくといいと思う。

 では、新型Sクラスに搭載されたことで、今後「ARナビ」は普及していくのだろうか。これまで多くのARナビに触れてきた私としては、この機能はメインとはならないと考える。あくまで基準となるガイドがあったうえで、それをサポートする付加機能として広まる可能性はあるかもしれないと思っている。それはナビゲーションに対する考え方が、日本と欧米とでは違いがあるということが背景にある。

 もともと欧米ではすべての道路に名称が付いており、ガイドする場合も進行方向の道路名を表示すれば、交差点のガイドはおおまかでも十分だ。たとえばラウンドアバウトでも何番目の道路に進むかがこの道路名で判断できる。これならARナビもメインとなり得るかもしれない。

 それに対して日本では道路名を表示しているのは主要幹線道路ぐらいしかなく、交差点にある施設などを目印にして曲がらざるを得ない。欧米のナビが矢印だけでガイドする「ターンbyターン」が普及し、日本では交差点拡大図の正確さを競った背景にはこうした事情の違いがあったのだ。

 つまり、日本では結局、曲がる方向だけを案内するARナビではガイドとして情報が不足してしまうと思うわけだ。ただ、表示したからといって邪魔になるものでもないし、むしろ、それを今後さらに発展させていくことは望むところ。たとえば表示を液晶からレーザーへ変えれば外光の影響もグンと減ってくる。今後はぜひとも機能の熟成度を高めていってほしいと思っている。


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