GMがロゴを刷新! 伝統を捨て「小文字」化した狙いとは? 

まったく新しい会社へと生まれ変わるという意思表示

 あれ? いつから小文字になったんだ?

 アメリカのゼネラルモーターズ本社のロゴが、これまでの「GM」という大文字から「gm」という小文字になっているではないか。そう思われた方が、日本にもいるかもしれない……。

 これまでの「GM」は、濃いめの青地に、太く白い横一文字の上に、白字でガッシリとして「G(ゼネラル)」と「M(モーターズ)」の文字が描かれていた。

 長きに渡り世界最大の自動車メーカーとして君臨し、重厚長大な産業化をリードしてきた自負が、ロゴから感じられるような雰囲気だった。

 それが、淡い青地にグラデーションで、全体の縁取りがこれまでの直角から丸みを帯び、その内側が黒字となって、gとmの小文字となり、さらに横方向の一本線はmの下だけに置いた。全体の印象としては、ソフトタッチなのだが、未来に立ち向かう先進性をも感じる新ロゴである。いったいいつから、新ロゴになっていたのか?

 事実上、新ロゴのお披露目は、2021年1月上旬のCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)でのことだった。

 CESは、家電やIT製品の世界最大級見本市として知られており、2010年代に入ってからは自動車メーカーも続々と出展し、新技術や新サービスを世界初公開する場として活用してきた。今年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、CES史上初となるオンラインでの開催となり、その基調講演であるキーノートスピーチに、gmのメアリー・バーラCEOが登壇した。

 講演の冒頭から、ロゴは刷新されており、その上でバーラCEOは改めて、自動車産業全体が大きな時代変化に直面していることを説明した。いわゆるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)や、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、さらにはスマートシティとなどの都市計画など、これまで自動車産業界としては別の領域と思われていた様々な分野と協調することが、gmを含めた自動車メーカーにとって必須となってきた。

 そうした中で、gmが馴染み深いロゴを刷新したのは、シボレー、ビュイック、キャデラック、GMCの各ブランド車を購入してくださるユーザーに対してはもちろんのこと、世界各地の販売店、そしてなにより社員としてgmに従事する数多くの人々に対して、「いまgmが大きく変わる(変わらざるを得ない)」ことを認識してもらう必要があるのだ。

 CESのキーノートスピーチでは、パワフルなEVとして蘇るGMCハマーを筆頭とする新EVプラットフォーム「アルティウム」の拡大や、クルーズ社と連携した自動運転の本格的な実用化、そしてEVデリバリートラックを含めたトータルな物流サービスなど、さまざまな次世代ビジネスを同時進行で積極的に実現することを表明した。

 gmは、これまでのGMではなく、まったく新しい会社へと生まれ変わる。そうしたgm経営陣の強い想いが、新ロゴに集約されているのだ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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