販売現場は「売れた」との感触! それでも年度末の「新車販売台数」がイマイチな理由 (2/2ページ)

3月の時点でヤリスクロスの納車は10月に

 もうひとつの理由が納期遅延の常態化である。今期は世界的な半導体不足の影響も出ており、受注残車両(受注月内に登録[軽自動車は届け出]ができず、受注翌月以降に新規登録が延びてしまう車両のこと)が多く、2月・3月、つまり年度末決算セール本番に受注しても、3月末までに新規登録ができずに年度末決算セールの販売実績にカウントできないケースが多発しているのである。

 在庫販売が少なく、受注残車両を多く抱える傾向のあるトヨタでは、2月時点でヤリス、ルーミー、ヤリスクロス、ハリアーなど、人気モデルの納車がすでに2020年事業度内に間に合わない状況となっており、ヤリスクロスは3月時点ですでに10月の納車になりそうとのことであった。

 販売現場で話を聞いても、年度末決算セールの好調さをアピールするのはトヨタ系ディーラーが多かった。昨年秋ごろから“トヨタ一強”状態が顕在化している新車販売市場だが、そのトヨタの強みは受注残車両を多く抱えていることにある。セールスマン個々は抱える受注残車両のなかから、たとえば「今月は3台ぐらい登録できそうだ」という見込みを得て、「あと3台を新規受注で実績の上積みをして目標販売台数クリアをしよう」と販促活動を進めるのだ。いわば受注残車両は“貯金”のようなものなのである。

 ただし、すべてのトヨタディーラーが、そしてトヨタ系ディーラーセールスマン全員が絶好調というわけではないだろうが、トヨタ系ディーラーで今回の年度末決算セールが“販売好調”というのは、バックオーダー、つまり受注残車両も大量に積み上げたことになるので、新車販売が苦戦する4月だけでなく、それ以降2021年度になってもしばらくはトヨタ一強状態が続きそうだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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