駐車場から天気の洗礼! 中谷明彦が「スパ・フランコルシャン」で体験した「恐怖」と「歓喜」 (1/2ページ)

駐車場から天気の洗礼! 中谷明彦が「スパ・フランコルシャン」で体験した「恐怖」と「歓喜」

マシンのメンテナンスは往年の名エンジニア!

 世界各地でシリーズ戦が組まれ熱戦が展開されていた「ポルシェ・カレラカップ」。ヨーロッパを転戦する同シリーズは「ポルシェ・カレラ・スーパーカップ」としてプロ・チーム/プロ・ドライバーも参戦する世界一ハイレベルな「ワンメイクレース」として知られていた。

 F1グランプリが開催されるウィークエンドに前座レースとして開催されるケースが多く、とくにモナコGPやスパ・フランコルシャンで開催されるベルギーGPは人気があり注目度も高い。第一志望のモナコGPラウンドでの参戦チャンスを失った僕は、このベルギーGPラウンドでの参戦権を得て、ポルシェのヴァイザッハ研究開発センターでのテストもこなし、スパ・フランコルシャンへと乗り込んだ。

 例によってドイツのフランクフルト空港に降り立ち、三菱自動車の現地駐在所から広報車を借りて、コブレンツ、ケルン経由で約300km離れたスパ・フランコルシャンに向かった。

 ポルシェ側が用意してくれたホテルはサーキットからほど近い森の奥深くにあり、歴史を感じさせる佇まい。ジム・クラークやグラハム・ヒルなど往年の名レーサーの定宿でもあったと聞く。このときはポルシェのスタッフ用に貸し切りであり、バーではポルシェウェアのメカニックやスタッフがすでにビールを囲んで盛り上がっていた。このホテルからサーキットまではグランプリのときだけ通行が許される特別なルートがあり、グランプリウィークの混雑下でも渋滞に会わずにパドックまで行けるという。

 翌朝、初めての走行に間に合うようパドックへ向かう。天気はどんよりと曇り、夜間に雨が降ったようで路面はウエット。関係者用駐車場は泥濘、足もとはドロドロだ。ここで迂闊にも尻もちをつき、背負っていたバッグのなかのパソコンを壊してしまう。スパ・フランコルシャンは不安定な天候が特徴で「スパウェザー」として過去多くのレーサーを悩ませてきた歴史がある。僕は走る前からスパウェザーの洗礼を受けてしまったわけだ。

 ポルシェ・スーパーカップのパドックはF1GPチームとは完全に隔離され、離れた旧パドックに設置されている。そこには参戦各チームの大規模なガレージテントが設営されていて、フロアは綺麗に床材が敷き詰められ車両整備が始まっている。

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 僕はポルシェ社のトレーラーハウスで担当エンジニア氏に挨拶。白髪でメガネをかけた初老の彼は、なんとノルベルト・ジンガー氏! そう、ポルシェ917や956、962などル・マンを何度も制したレーシングポルシェの生みの親とも言えるジンガー氏だ。僕も1989年にポルシェ962Cでル・マンに参戦した時に挨拶をしたことがある。そんな超有名なジンガー氏が僕とバニラ・イクス(ジャッキー・イクス氏の愛娘)、もうひとりアメリカから遠征してきたという北米カレラ・カップチャンピオンのG・ジャネット選手の計3名を担当してくれるという。

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 マシンのメンテナンスは完璧にしてあるとのことで、シート合わせに向かう。ポルシェのワークスカラーに彩られた2台に僕とバニラが乗るのだが、近づくとヴァイザッハでシェイクダウンした新車にバニラの名前が。僕のマシンはところどころ塗装がはげていてブレーキのディスクローターも使い込まれていた中古品。日本人ゲストドライバーにはいい思いはさせてくれないようだ。

 ヴァイザッハのテストでバニラとのタイム差を比較検証され(僕のほうが速かった)、彼女が先行できるようなパッケージングをしてきたのだなと気がついた。そんなことならヴァイザッハで手を抜いて走ればよかった。しかし、文句は禁物だ。その場所に居られるだけでも有り難いのだ。しかも伝説のジンガー氏とセットアップについて語り合えるなんて感激しかない。

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