今年は「車検」が安くなる! 強制の「自賠責保険料」が2年連続「下がった」ワケ (2/2ページ)

交通事故が減少すれば自賠責保険料は下がっていく

 そこで自賠責保険の保険料については、損害保険料率算出機構という組織が保険料を算出する仕組みになっている。その計算方法にいて、同機構によれば『過去の保険データをもとに、科学的・工学的手法や保険数理などの合理的な手法を用いて、将来の事故の支払額を計算』するとなっているが、ようは過去の補償が少なければ、保険料は下がるということだ。

 そして、ここ数年交通事故は明らかに減っている。

 警察庁の発表データによると年ごとの交通事故発生件数は次のように推移しているのだ。

■交通事故発生件数(死亡者数)

 2018年:43万0601件(3532人)

 2019年:38万1237件(3215人)

 2020年:30万9000件(2839人)

 2年間で交通事故件数は3割近く減っており、死亡者も2割ほど減っている。つまり補償の総額も減っているといえる。ノーロス・ノープロフィットの原則を考えれば自賠責保険料が2割以上安くなっているのは当たり前なのである。

 先進安全装備の充実やドライバーのコンプライアンス意識の高まりによって交通事故は年々減っている。そのため、このところは見直されるごとに自賠責保険の保険料は下がる傾向になっているのだが、もし交通事故が増えるようなことがあれば保険料は上がるというのも、ノーロス・ノープロフィットの原則からすると当然の話だ。

 自賠責保険の負担を軽減しているのは交通情報を減らしているドライバー自身の安全意識にある。交通事故が下げ止まりになると自賠責保険の保険料も下がらなくなってしまう。自賠責保険の負担が軽くなっていくためにも、さらに安全意識を高めて、交通事故ゼロの社会を目指していきたいものだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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