ダイハツのOEMで軽自動車を販売するトヨタ! なのに「タント」や「ムーヴ」など売れ筋モデルが「存在しない」ワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トヨタはオリジナルの軽自動車を製造せずダイハツからのOEM供給

■そのラインアップには売れ筋のタントやムーヴなどが入っていない

■トヨタにとって軽自動車は本気で取り組む必要のないジャンル

トヨタブランドの軽自動車販売比率は約0.1%!

 自販連(日本自動車販売協会連合会)と、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の統計によると、2020事業年度締め(2020年4月から2021年3月)における、年間新車販売台数の総合計は465万5637台となり、そのうち登録車が289万8884台、軽自動車は175万7653台となっている。新車販売全体における軽自動車の割合は約37%となった。

 新車販売台数のなかで、軽自動車は4割に迫ろうとしている。現在国内では9つの乗用車ブランド(トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、ダイハツ、マツダ、スバル、三菱、レクサス)があるが、オリジナルだけでなくOEM(相手先ブランドモデル)も含めるとレクサス以外のすべてのブランドが軽自動車をラインアップしている。

 たとえば2021年3月の新車販売台数でみると、もともと軽自動車販売比率の高いスズキにおける軽自動車販売比率は約79%、大ヒット軽自動車N-BOXをラインアップするホンダは約52%となり、軽自動車販売比率の高いブランドが目立つ。しかし、国内販売で圧倒的な強さを見せる、トヨタブランドの軽自動車販売比率は約0.1%と極端に少ないものとなっている。

 トヨタはガソリン車についてはダイハツから供給されるOEM軽自動車を“ピクシスシリーズ”としてラインアップしている、軽乗用車ではエポック(ミライース)、ジョイ(キャスト)、メガ(ウェイク)を、軽商用車としてバン(ハイゼット カーゴ)、トラック(ハイゼット トラック)をラインアップしている。ただし、そもそもトヨタが軽自動車をラインアップするのは、ほかのブランドに多く見られるような「積極的に売っていきたい」というものではないのである。

 たとえば、アルファードやクラウンを乗っているお客から「セカンドカーとして軽自動車が欲しい」とか、企業経営しているお客からは「仕事用で軽商用車が欲しい」という相談がトヨタ系ディーラーではよくあるそうだ。結果的には軽自動車を欲しいと考えるトヨタ車ユーザーが、スズキやホンダ、日産の軽自動車を所有することが多かったそうだ。そこで「問い合わせがあった時に備えて」として、トヨタブランドの軽自動車、ピクシスシリーズがラインアップされた。

 ホンダがNシリーズで本格的な軽自動車販売に参入したときに筆者は、「ホンダはパンドラの箱を開いた」と思った。軽自動車は薄利多売が大原則であり、たくさん台数を販売しても得られる利益は限られている。2020事業年度締めでの年間販売台数でN-BOXは19万7900台を販売した。

 一方でアルファードは10万6579台を販売している。支払総額で400万円、500万円も当たり前なのに、10万台強販売したアルファードのほうが、N-BOXをはるかにしのぐ利益をメーカーやディーラーにもたらせるのは誰が見ても明らか。軽自動車は売りやすいとはいわれるが、同じような手間をかけて新車を販売するならば、アルファードのほうが数倍(数十倍?)儲かるのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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