公道での「安全」が確実に進化! 初心者こそ「サーキット走行」に挑戦すべき理由 (1/2ページ)

初心者でも参加しやすいイベントは多数開催されている

 0〜100km/h発進加速タイムが2.8秒、最高速330km/hなど超高性能をアピールするスーパースポーツカーが続々と登場している。それらの多くは数千万円から数億円という驚異的なプライスタグが付けられているが、株高など経済的背景から世界的に売れ行きは好調だという。しかし、それほどの性能をいったいいつ、どこで発揮させられるだろうか。速度無制限のドイツ・アウトバーンにおいても300km/hで走り続けるのは自殺に近い行為だ。

 ましてや国内においては、100万円以下の軽自動車も数億円のハイパーカーも適用される法律は平等であり、法定上限速度は同様に定められている。

 昭和の時代には首都高速環状線を1周走ってタイム計測し速さを自慢しあうこともあったと聞くが、少なくとも僕が免許を取得した1975年にはそのような行為は厳しく取り締まられていた。だが週末の夜になると無法地帯であるかのように爆走する車両を多く見かけたのも事実。そうした一部の走り屋の行為がより取り締まりを厳しくし、今では自由に走れる場所は皆無になった。近頃は煽り運転対策の一貫として「ドライブレコーダー」が大きく注目され多くの車両が搭載している。そのため警察の取り締まりがなくとも、一般車のドライブレコーダーに爆走ぶりが録画され、後に摘発対象とされることもありうる。

 我々が高性能車の試乗リポートを書くには、時に限界性能を試す必要もあり、そのためにはサーキットなど限られたクローズドコースで走行するしか手だてはなくなった。

 しかし、一般ドライバーの多くはサーキット走行と聞くと、とても敷居が高く感じられ尻込みしてしまう人が多いだろう。一般道で爆走するほうが遥かに危険でリスクも大きく、他人にも迷惑をかけているのだが、そんな人達もサーキット走行は怖いという。

 そこで、ビギナーでも走りやすいサーキット走行デビューに適したイベントに参加することをお薦めしたい。

 たとえば富士スピードウェイが定期的に開催している「ワンメイクドライブレッスン」シリーズ。同じ車両のオーナーだけが参加できる走行会イベントなので車両間の性能差が少なく、富士スピードウェイのスタッフが安全管理を行っているので安心して参加できる。

 僕もお手伝いさせていただいている「2リッター・ターボ4WD(2Lターボ4WD)走行会」は少し幅を拡げ同一カテゴリーの車両を対象に開催されていて、毎回多くの参加車で賑わいを見せている。初参加者はサーキット走行のルールやマナーの講義を受け、希望者にはサーキットライセンスの発給を受けられる講座も用意されている。サーキットライセンスを所持すれば、以後はスポーツ走行枠に参加することができ安価にサーキット走行を楽しめるのだ。

 2Lターボ4WD走行会は当初「ランエボ(三菱ランサーエボリューション)・インプ(スバル・インプレッサWRX)」の走行会として開催されていた。ちょうどスーパー耐久レースのクラス2カテゴリーでランエボとインプが死闘を繰り広げていたこともあり、両モデルのオーナー達がクラス2のレーサーになった気分を楽しめた。その人気は凄く、参加枠60台の募集枠は募集案内が出されると即座に埋まりキャンセル待ちがでるほどだった。

 近年はランエボが生産終了になり、逆にA 45 AMGやゴルフRなど、輸入車の同一カテゴリー車が多くラインアップされるようになり、2Lターボ4WD走行会参加車両の半数を占めるまでになっている。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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