65年で15代の超長寿車クラウン! マニアが独断と偏見で選ぶトップ5 (2/2ページ)

評判が良くないとその後大幅に改良を施されたものも存在

3位:初代クラウン

 日本初の純国産乗用車としてデビューしたのが初代。トヨタ以外のメーカーが、欧州メーカー車のノックダウン生産を行うことで実力をつけようとしていたなか、トヨタは自主開発及び純国産の道を歩んだ。乗用車とはいうものの、タクシーニーズも強く意識しており、そのため観音開き式ドアを採用したとされている。

 当時はまだ自動ドアを採用するタクシーは少なく、助手席にまさにお客の乗降時にリヤドアの開閉を行う“助手”が座っていたとのこと。そして、この助手が手早くリヤドアの開閉ができるように観音開き式ドアを採用したとの話がある。

 ただ、当時はいまでは信じられないが“純国産”ということに耐久性に関して疑問を抱くタクシー事業者も多く、反応はいまひとつだったので、それまでタクシーとして使っていた、耐久性のあるトラックシャシーにセダンのボディを架装した、“トヨペット マスター”も併売されていた。

 それ以降、JPNタクシーにその座を明け渡すまで、クラウンは60年強にわたりタクシー車両をラインアップしてきた。非常に酷使され、そして乗客への快適性の高さが意識されるタクシー車両があったからこそ、いまもなお抜群のブランドステイタスを誇るクルマとしてのクラウンが信頼を得られたといってもいいだろう。

4位:9代目クラウン

 このあたりからセダンとハードトップのモデルサイクルが異なってくるので、ここでいう9代目は4ドアハードトップでの9代目とする。

 9代目4ドアハードトップは1991年10月にデビュー。9代目からは全車3ナンバーワイドボディを採用。それまでのロイヤルサルーンシリーズだけでなく、V8エンジン搭載車もある、“マジェスタ”という上級シリーズも設定された。

  

 8代目では一部で3ナンバーワイド版を設定し、後にデビューする初代セルシオにも搭載されているV8エンジン搭載車もラインアップしたが、“シーマ現象”の前に苦戦を強いられており、9代目ではマジェスタシリーズが用意されたようである。ただし、マジェスタが新開発モノコックボデーなのに対し、ロイヤルシリーズはペリメーターフレームを採用していた。

 マジェスタは好評だったのだが、ロイヤルシリーズは全体が丸みを帯びており、とくにリヤビューの評判がいまひとつであった。そこで1993年に早めのマイナーチェンジを実施した。当時は「マイナーチェンジでそこまでやっていいのか」と物議をかもした大幅なものとなり、とくにリヤビューはナンバープレートの位置をバンパー下部から、左右のリヤコンビランプに挟まれる形のバンパー上中央部に移設されたりして、イメージの大幅刷新を行った。

 クラウンと言うと、伝統的なモデルという印象は強いが、時おり新しいトレンドを採り入れるなど積極的な動きも目立つ。そして、あまり評判が良くないとスパっと“保守路線回帰”のような改良を行う。意外なほどこのようなことを歴代モデルは繰り返してきたのである。

5位:13代目クラウン

 12代目は言わずと知れた“ゼロクラウン”。それまでのクラウンは“船を漕ぐような”とも表現される、古き良き時代のアメリカ車の乗り味に近い、かなりソフトというか、ゼロクラウンのデビューした2003年あたりのほかの日本車と比べても、独特の“クラウンワールド”が存在していた。そこで11代目ではロイヤルシリーズとスポーティなアスリートシリーズの2つのシリーズ分けを行なったりしていた。

 そして12代目ではプラットフォーム、搭載エンジン、サスペンションなどメカニカルコンポーネントを一新させた。ゼロクラウンでもロイヤルシリーズとアスリートシリーズが用意されていたのだが、長い間クラウンを乗り継いでいる“お得意様”からは、「足まわりがロイヤルシリーズでも固くなった」という声が多く寄せられたようで、13代目では“先祖返り”というと表現はあまり良くないが、とくにロイヤルシリーズでは、ゼロクラウン以前のソフトな乗り味が意識されたものとなった。

 ゼロクラウンは若い世代のクルマ通には評判は良かったのだが、まだ、その当時は初代に近いモデルから乗り継いでいるような、“お得意様”もまだまだ多くいた。販売現場の声をしっかり聞き、それが顧客満足度向上につながるのならば新型車の開発に反映させる。伝統的なモデルのクルマづくりの難しさを垣間見ることができた。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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