65年で15代の超長寿車クラウン! マニアが独断と偏見で選ぶトップ5 (1/2ページ)

それまでのタクシー専用車とは一線を画すモデルも登場した

 初代デビューから今年で65年目に入ったのがクラウン。同一車名でここまで長きにわたりラインアップが続けられているモデルは世界的にも珍しい。トヨタでは初代デビューから56年目となったカローラなど、同じ車名で長い間ラインアップの続くモデルが多い。

 このようなモデルは歴代モデルからの継承というものもあり、新型の開発はかなり苦労するとの話を聞いたことがある。ここでは、“最強”というキーワードを意識しつつも、筆者にとって思い出深い歴代クラウンを紹介していこう。

1位:クラウンコンフォート

 タクシーに乗るのが大好きな筆者なのだが、クラウンコンフォートがデビューしてしばらくして、街なかで結構見かけるようになっても、なかなか乗ることができなかった。駅のタクシー乗り場で順番を待っていても、「今日は乗れそう」と思っていても、結局ひとり前の人に当たってしまったりして、乗れない日々が続いた。そして、ある日やっとクラウンコンフォートのタクシーに初めて乗ることができた。

 背が高く乗りこみのしやすさに感動したものの、ワクワクしながら後席に座ると「あれっ」と思ったのをいまも覚えている。“クラウン”と言う名を冠しているものの、クラウンコンフォートは6代目マークII(X80系)がベースとなっていた。

 クラウンコンフォートに乗りこみ、後席に座ると、住宅のソファのように深々を座ることになる独特のリヤシート、そしてタクシーながら抜群の静粛性など、クラウンセダンをベースとしていた、それまでのクラウンタクシーと比べると、“フツーのクルマ”らしさが目立ち、クラウンタクシーとの世界観(ヒエラルキー?)の違いというものを当時感じたのを覚えている。

 しかし、6代目マークIIがベースとはいえ、コラムシフト(なんとMTもあった)にベンチシートという、当時のタクシー定番仕様は用意されていたし、セダンボディでありながら、よくぞここまで、乗降性だけでなく後席居住性まで向上させるなど、タクシー車両を強く意識したクルマづくりをしているものだと感動してしまった。

 クラウンコンフォートは、2008年に液噴タイプの1TR-FPE LPガスエンジンに代わり、それまでより一気に37馬力アップされた。その当時、新エンジン搭載車に乗った時の従来エンジン車と比べてのパワフルさの違いを後席で驚きとともに味わっていた。2013年の改良では、デジタルタコグラフの普及もあり、タコメーターが全車標準装備となったことも印象深く覚えている。走行距離50万kmからが本調子が出てくるともいわれる、クラウンを名乗るタクシー車両のラストを飾ったのがクラウンコンフォートだったのである。

2位:3代目クラウン

 3代目の登場は1967年9月。それまでとは異なり、“オーナーカー”を全面に押し出すための“白いクラウン”というキャッチフレーズが有名。クラウンとしては初となる2ドアハードトップも設定されている。

 筆者が幼稚園に入るか入らないかのころ、ちょうどクルマに興味を持ち始めたのだが、家族と一緒に乗ったタクシーとして、いまも鮮明に記憶しているのが3代目クラウンタクシーであった。後席の真ん中でベンチシートにしがみついて、運転士さんがマニュアルコラムシフトを操作しながら運転している様子を、まさに“ガン見”していた。

 大きめな三眼メーターの一番センターよりは、乗用仕様ならば三針式時計があるのだが、タクシーのそこはダミースペースとなっており、たいていの運転士さんはそこにタバコを置いていた。大きめなウインカーランプが“カチカチ”と音を立てて点滅するのも大好きであった(4代目“クジラ”では、スピードメーター内に収まる小さなものとなってショックだった)。

 3代目クラウンは“日本の美”を意識したエクステリアデザインを採用してデビューしたのだが、後期モデルでは当時アメリカ車で流行していた全体に直線基調を強調し、とくに顔つきが大幅に変更されている。前期モデルのとくに顔つきがいまひとつだったようである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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