モーターパワーで高い駆動力を発揮! 新型ホンダ・ヴェゼルの4WDを試す (2/2ページ)

人気の最上級グレードへのAWD追加に期待!

 また、リヤディファレンシャルのトルク容量が初代より約10%アップし、後輪へ伝えられる駆動力は最大で50%まで拡大。VSA(横滑り防止装置)のブレーキ制御などもチューニングが変更されたことで、よりシビアな状況でもスタックせず走破できるようになっている。

 このようなシステム構成とした理由を、パワーユニット開発統括部の上田雅英チーフエンジニアに聞くと、「まずリヤをモーターとしなかったのは、同じ性能をモーターで出すにはサイズが大きくなり、パッケージングとコストの面で不利になります。また、車種によってはプロペラシャフトを通せないことがありますが、ヴェゼルの場合は通せましたので、メカニカルAWDを採用しました」とのこと。

 前後駆動力配分を100:0〜50:50としたことについては、「前後駆動力配分は前後荷重比に合わせるのがベストと考えていますが、ヴェゼルの前後荷重比は60:40くらいですので、これを基本としています。加速時、とくに発進時には荷重が後輪側に移りますので、それに合わせて50:50まで可能にしました。逆に高速走行時はAWDの必要性が下がりますので、燃費を考えて90:10〜80:20くらいに制御しています」と、幅広い速度域や路面状況でベストな配分を実現する狙いがあったようだ。

 しかもこのe:HEV+リアルタイムAWD、走行モードを切り替えずNORMALモードのままアクセル・ブレーキ操作を行えば、高い走破性が得られることも大きな美点。ドライバーの知識や運転スキルによらず優れた性能を享受できるシステムに設計したことは賞賛に値するだろう。

 ただし、そんな優れたAWDシステムが、最上級グレード「PLaY」に設定されていないのは大いに疑問。「技術的に不可能ということではありません」とのことなので、生産もしくは営業戦略上の都合と思われるが、ユーザーの立場としては一刻も早く全グレードで選べるようにしてほしいと願わずにはいられない。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

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ホンダS2000(2003年式)
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