過去には「32億円」の損害賠償もある「物損事故」の恐怖! 自動車保険の対人対物「無制限」は必須だった

損害賠償額が億を超えるような事故も起きている

 自動車保険の対物賠償保険、今では補償額=無制限に加入している人が大半だ。保険会社でも基本的に対人・対物は無制限を勧めているはず。

 というのも、損害賠償額が億を超えるような事故が実際に起きているからだ。

 もっとも高額なケースは、2008年に首都高速道路でタンクローリーが横転して火災が発生した事故で、道路高架部分の掛替費用(約17億円)と、 2 カ月あまりの通行止めによる通行料金の営業損失を合わせ、32億8900万円の支払いを東京地裁が命じている。

 また、1994年に高速道路でトラックが横転、炎上して車両と呉服、洋服、毛皮など積荷を焼失させた事故では、2億6135万円という判例がある。

 1996年に乗用車がセンターラインをはみ出して、トラックに正面衝突し、道路脇のパチンコ店に飛び込んだ事故では、乗用車に1億3450万円の賠償金という判決が。

 1980年に福岡でバンが踏切内で脱輪し、そこへ特急電車が衝突。線路脇の家屋にまで被害が出て、賠償額は1億2036万円。

 2009年に東京都内で乗用車がペットショップに飛び込んだ事故では、店舗の修復費用や休業補償など、損害賠償額は計約2220万円に。

 レアなケースでは、2012年に渋滞中の名神高速道路の合流地点で、一般的な乗用車とランボルギーニが接触。ランボの修理代は、所有車の車両保険で支払われたが(約1106万円)、乗用車側に「車両の代車費用」や「評価損」などを請求し裁判を起こした。一審では、乗用車側に約884万円の支払いが命じられたが、控訴審では一審判決を取り消されたとのこと……。

 世の中景気が悪いのに、1000万、2000万円級の高級車はけっこう街中でも見かけるし、バスやトラックなどの商業車も、車両価格は驚くほど高い。大型の路線バスでも2500万円ぐらい、観光バスだと4500~5000万円ぐらいはする。

 そうでなくても、自動車保険の支払い一件当たりの修理費は年々増加傾向にあり、2019年は275万1000円となっている。

 万が一のために加入する自動車保険なので、どうせ加入するなら対人と対物は、必ず無制限にしておこう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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