MX-30・UX・アリア! 新規導入のEVが「SUVばかり」な「合理的」理由とは (1/2ページ)

手っ取り早く販売実績につなげるには流行りのSUVが適している

 電気自動車(EV)の市場導入に際して、SUV(スポーツ多目的車)が多い理由は、SUVがいまもっとも売れ筋の車種だからだ。まだ車種のそろわないEVを着実に販売実績にむすびつけるには、SUVのほうが売りやすいだろう。

 くわえて、最低地上高の高いSUVは未舗装路を走行する可能性が考えられ、駆動力制御により的確な路面保持をさせるうえでは、エンジン車よりモーター駆動のほうが適している。理由は、エンジンに比べモーターのほうが約100分の1秒の速さできめ細かく駆動力調整できるので、タイヤがいっそう滑りにくくなるからだ。

 そのうえで、SUVは床下に駆動用のリチウムイオンバッテリーを搭載しやすいという見栄えの理由もある。SUVは、そもそも車高が高めのため、外観的に床下に搭載されるリチウムイオンバッテリーぶんが造形上かさ上げになっても、車両全体の見栄えが崩れにくい。また、万一床をこするような路面状況に出会っても、セダンやハッチバックなどに比べ床下にあるバッテリーパックへの損傷を少なく抑えられる安心感もある。

 たとえば、2年前に来日したメルセデス・ベンツのデザイナーは、「SUVのEVは造形しやすい」と語り、逆に、「4ドアセダンのSクラスなどは、床下に車載するリチウムイオンバッテリー分のかさ上げにより、窓ガラスより下の車体部分の厚みが増してしまうのを、どのように調和した外観として仕上げるか、工夫が必要だ」と語っている。そうした工夫をしながら登場してくるのが、EQSといえる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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