令和時代に若手セールスマンの「ビニールレザー」発言に衝撃! 日本車独特の「シート表皮」の歴史 (1/2ページ)

この記事をまとめると

◼︎昔と同じ素材でも呼び名が変わっていていい印象を持たない世代も

◼︎日本では本革シートはあまり人気でなかったが、海外では人気がある

◼︎ここ数年、日本でも革シートが普及してきた

「ビニールレザー」にあまり良い印象を持たない人も

 先日ある新車ディーラーにて、店内に展示してあった高級セダンをセールスマンの案内で見ている時のこと。セールスマンが「このグレードですと、シート生地は“ビニールレザー”なります」と説明してくれた。このセールスマン、どう見ても“昭和生まれ”ではないのは確実だとわかる若手であった。

 このセールスマンは、“合成皮革”と言いたかったようであり、このモデルのカタログを見ると、シート生地については何やら面倒くさい名称がついており、これをそのまま説明してもなんのことやらわからないので、わかりやすくビニールレザーと紹介してくれたようであった。

 ただ、筆者のような昭和生まれにとっては、“ビニールレザー”にはあまり良い印象を持っていない。我が家で初めてマイカーとして購入した、1976年式トヨタ・パブリカ スターレットセダン デラックスのシート地はビニールレザーであり、このスターレットだけでなく、当時の乗用車でファブリック(毛織物)地のシート表皮になるのは上級グレードのみと言うケースが当たり前。フロアについてはカーペット敷きがほとんどであったが、スタンダードだけ塩化ビニールというクルマも珍しくなかった。

 ダッシュボードは樹脂で、シートはビニールレザー、床だけはカーペット敷きだったのだが、カー用品店で“タイヤ&レザーワックス”買ってきて、ピカピカでツルツルに車内を磨き上げていた父親を手伝っていた少年時代を、筆者はいまも鮮明に覚えている。

 80年代が見えてくるころになると、だいぶファブリック地のシート表皮の採用が進んだのだが、当時の乗用車でのベンチマーク車となる、4代目(セダンでは最後のFR)トヨタ・カローラをみると、中間グレードのGL以上はファブリックではあるが、カスタムDX、DX、スタンダードでは依然としてビニールレザーとなり、さらにDX系とスタンダードでは採用するビニールレザー地で差をつけていた(スタンダードのほうが安い?)。

 さて、話を令和に戻そう。商用車でもビニールレザー地のシート表皮を採用するモデルを探すのにひと苦労し、ここ最近本革はもちろんのこと、前出のセールスマンのいうところの、“ビニールレザー(合成皮革)”の設定が目立ってきている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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