明暗クッキリ! 別モデルの如く「大胆イメチェン」を行った5車種の顛末 (2/2ページ)

売り上げの明暗を分けた大胆な選択も

3)三菱デリカD:5

マイナーチェンジで大胆なイメチェンを図った現行車種では、三菱デリカD:5が挙げられる。

2019年2月に、12年ぶり!! のビッグマイナーチェンジが行われ、当初は賛否両論だった強烈な面構え、オラオラ顔になったと同時にクリーンディーゼル+4WD専用車となり(ビッグマイナーチェンジモデル)、ついに先進予防安全技術のe-Assistを標準装備。さらに走りの面でもパワーステアリングが劇的に軽く扱いやすくなり、走りもゴキゲンに進化し、静かで軽快感あるものに大胆チェンジ。

箱根の山道を安定感たっぷりにスイスイと走ってくれたのには、心底、驚かされたものだった。デリカD:5がもう約15年近くも生き延びられているのは、2019年の大胆イメチェンの成功があってこそだろう。

4)トヨタ・プリウス

一方、大胆すぎるイメチェンで失敗!? した新型車もある。一例としては、HV専用車、世界の量産HV車の先駆けとなったトヨタ・プリウスだ。

2015年に登場した4代目は、TNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)を採用した1号車であり、歴代初の4WD=E-FOURを設定。走りの進化(とくに乗り心地と操縦性)も劇的だった。しかし、ラスベガスで初披露された新型の顔は、いわゆる「歌舞伎顔」と呼ばれ、かなりアクの強いデザインだった(リヤも)。

結果、デザイン不評で、期待していたほど販売は伸びなかったのである。

もちろん、トヨタが黙って見ているわけもなく、ちょうど3年目の2018年12月のマイナーチェンジで、顔つきをよりプリウスらしい落ち着いたデザインにイメチェン!? 変更。

プリウスファンをホッとさせたものだった。実際、2019年に入り、販売台数はいきなり増加。ノートを抜いて1位になった月もあるほどだ。

5)ホンダ・フィット

もう1台、大胆なイメチェンによって、販売が先代より低迷しているクルマがある。それはホンダ・フィット。2020年に登場した4代目のエクステリアデザインは、それまでのシャープでエッジの効いたものから一転。「心地よさ」をテーマにした、ほんわり優しい顔つき、デザインとなったのである(柴犬がモチーフらしい)。

中身は素晴らしく、センタータンクレイアウトを継承したクラス最大級の室内空間、多彩で使いやすいシートアレンジを備えているとともに、極細Aピラーによる感動的な前方視界、より快適方向に振られた乗り心地、SOSコール&トラブルサポートボタンといったコネクテッド機能も充実し、まさに新時代のフィットに進化。

しかし、あまりにも人の良すぎる!? ほんわかとしたキャラクターが災いしてか、かつての勢いはない。販売絶好調のライバルとなるトヨタ・ヤリスは、明らかにフィットより後席居住性、シートアレンジ性で劣っているが、やはりシャープな先進感あるエクステリアデザインが功を奏している印象だ。

ただし、4代目フィットでも、クロスオーバースタイルのクロスターになると、エクステリアデザインの印象はガラリと変わり、いきなりスタイリッシュかつ力強く今風の、標準車のほんわり優しいデザインとは別物のデザイン性、存在感を示す。フィットのエクステリアデザインにちょっと抵抗がある人でも、クロスターなら、最低地上高の余裕がもたらす走行性能とともに、満足できるに違いない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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