ゴルフ7乗りが本音で辛口チェック! 新型ゴルフ8の「イイとこ」「ダメなとこ」 (1/3ページ)

この記事をまとめると

■8代目ゴルフが日本上陸し、先行受注でも好調なスタートを切っている

フォルクスワーゲンのクルマはコストに関してまったく妥協していない

■ライバルが一目置く存在であり続けるであろう商品性をしっかりと身に付けている

ゴルフ7は当時ほぼ超えるのは難しいレベルにまで達していた

 いよいよ今年大注目必至の輸入車の1台、先代が輸入車として初の日本カー・オブ・ザ・イヤーを2013-2014年に受賞した、8代目となる最新のフォルクスワーゲン・ゴルフが上陸。先行受注でも好調なスタートを切っていると聞く。

 1974年に登場した初代ゴルフは、あのカブト虫、ビートルの後継車であり、Cセグメントに属するハッチバックモデルとしてデビュー。デザインはかのG・ジウジアーロで、彼の傑作の1台と言われている作品だ。当時、ボクのまわりでも、お金持ちの息子やカタカナ商売の人たちの、人(国産車)とは違う、質実かつオシャレな愛車として大人気だったと記憶している。その頃からすでに、デザインはもちろん、細部に至る作りの良さ、走行性能の良さ、インテリアの仕立ての良さ、故障のしにくさなど、世界のCセグメントのハッチバック車の基準となっていたことは間違いない。

 ホットハッチのGTI(初代GTIは日本正規未導入)、80年代にお嬢系女子大生にウケまくっていたカルマン製のカブリオなどのラインアップを揃えていたことも、根強い人気の理由だったはずだ。以来、GTIクラスという、ホットハッチのセグメントを世界的に確立したのもゴルフだったのである。

 ボクは初めての輸入車として、1985年にそれまでの日産フェアレディ280Zから、いきなりゴルフ2の5速MT車に乗り換えたのだが、パワーはともかく、作り込みの素晴らしさや当時の日本車とは別格のボディ剛性、長距離走行の疲れにくさに感動したものだった。

 そして今は、2014年からゴルフ7ヴァリアントに乗っていて、だからある意味ゴルフファンであり、8代目の登場を心待ちにしていた1人でもある。すでに3気筒1リッターターボ+48VマイルドハイブリッドのActive、4気筒1.5リッターターボ+48VマイルドハイブリッドのStyleに試乗しているが、果たして、今もゴルフは世界のコンパクトカーの基準であり続けるのだろうか。

 ところで、国産車でフォルクスワーゲンのクルマをベンチマークにしているクルマは少なくない。Cセグメントのハッチバック車はもちろんそうで、メーカーが開発段階にゴルフを買ってバラし、徹底的に検証しているというウワサも聞く(ホンダのフィットやN WGNはポロがベンチマークだという)。世界のCセグメントに属するコンパクトカーが、ゴルフを横目に見て開発しているのも当然だろう。

 とくに、ゴルフの完成形とも言えた7代目に至っては、ほぼ超えるのは難しいレベルの商品性に達していたように思う(デビュー当時)。具体的には、いち早く巨額の投資を行ったレーザー溶接ライン(国産メーカーの開発者が羨ましがっていた)、ゴルフ7のシャープなプレスラインを実現するホットプレス技術などを含み、ずいぶん前から、ボディパネルとパネルの隙間の小ささ、精密な作り込み、走行性能、運転のしやすさ、シートのかけ心地の良さにも驚かされたものだった(もちろん、耐久性も)。

 言い方を変えれば、フォルクスワーゲンのクルマは、たとえゴルフのような”大衆車”クラス(今ではけっこう上級車だが)でも、コストに関してまったく妥協していないということだ。それが、ベンチマークであり続けてきた理由のひとつであるはずだ。

 では、本題に入ろう。新型ゴルフ8は、世界中のクルマのクォリティが飛躍的に高まった今でも、世界のCセグメント、コンパクトカーの基準であり続けるのだろうか。その独断的な答えを述べる前に、ゴルフ7に乗る者として、ゴルフ8に接した印象の、よくないほうから述べるとしたい。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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