ゴルフ7乗りが本音で辛口チェック! 新型ゴルフ8の「イイとこ」「ダメなとこ」 (2/3ページ)

ゴルフ7登場時ほどの感動は得られなかった部分も

 まずは、ボディサイズが拡大していないことは良心的で褒められるとしても(一部ダウンサイズ)、パッケージ的な攻めがなく、前席頭上スペース、後席に家族や犬が乗る機会の多いわが家がゴルフ7の不満点として挙げている後席膝まわりスペースは、先代とまったく変わっていないし、後席頭上スペースは全高が低まったぶん、狭まっているのである(身長172cmのボクで150mmから130mmに)。ホイールベースを縮めたとはいえ、そこはパッケージングの魔法で、何とかしてほしかった、というのが本音である。

 歴代ゴルフは、その時点で望める最高峰の乗り心地を提供してきたクルマだと思っている。バネ下だけをしなやかに動かし、バネ上、つまり乗員はフラット極まる快適で、長時間のドライブでも疲れにくい、クラスを超えた上質極まる乗り心地に満足できたものだ。とくに試乗して少し走っただけで購入を決めたぐらい素晴らしかったゴルフ7の乗り心地は秀逸さは、今でも忘れられないほど、感動に値するレベルにあったのである。

 が、新型ゴルフは、16インチタイヤを履く、ゴルフ、ドイツ車らしからぬ!? 軽やかな走りが特徴のActive、17インチタイヤを履く、ゴルフ7に近い、いかにもフォルクスワーゲンのクルマらしいガッチリとした骨太な乗り味を示すStyleともに、乗り心地に関してはゴルフ7登場時ほどの感動は得られなかった。誤解のないように説明させてもらうと、乗り心地がよくない、という意味では決してない。依然、Cセグメントのハッチバックモデルとして、世界最上級の乗り心地を味わわせてくれることは間違いないのだが、「進化」という点で、ゴルフ7乗りとしては、さらなる上質さ、快適さを期待していたというわけだ。

 ちょっとガッカリしたのは、ボンネットの開閉操作だ。ゴルフ7では1本のダンパーが備わり、軽く開けることができ、閉める際にいきなりパタンとは閉まらず、操作性に優れていたのだが、新型では「つっかえ棒!!」で固定する昔ながらの方式に変わっている。しかも、ボンネットが思いのほか大きく重く、開閉ともにかなり重い操作を要するのだ。コストダウン、あるいは、多くのユーザーがめったに開け閉めしないから……という理由かも知れないが、これはどうかと思う。

 また、ボディカラーが残念だ。グレー、レッド、ブルー、ブラック、イエロー、ホワイト2色の全8色だが、シルバー系がなく、ボディカラーの定番と言える、愛車のボディカラーでもあるリフレックスシルバーのような、ボディの作り込み、プレスラインをきれいに強調してくれるような、きらめきあるカラーがないように思えるのだ(個人的好みですが)。今後、ボディカラーの選択肢が広がることを期待したいところである。

 と、ゴルフ7オーナーとして、ゴルフ8の不満点を言いたい放題言ってきたわけだが、しかしそれでも、最新のゴルフ、ゴルフ8は世界のCセグメント、ハッチバックモデルとして、ベンチマークになりうる資質を備えていると考える。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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