ゴルフ7乗りが本音で辛口チェック! 新型ゴルフ8の「イイとこ」「ダメなとこ」 (3/3ページ)

ライバルが一目置かずにはいられない存在であり続けるだろう

 その理由として、まずは、全車、48Vマイルドハイブリッドを採用したことが挙げられる。ターボエンジンの低回転域のトルクをアシストし、出足のトルク感、スムースさをさらに増強するだけでなく、ゴルフ7.5(後期型)で改善されたとはいえ、ウィークポイントだったDSGの発進時の唐突感、クラッチングのギクシャク感が、モーターアシストによって見事に改善、克服しているのだ。DSGを採用するクルマの最大の欠点が見事に解消されたということは、ミッション、動的質感として完璧になったことを意味する。

 もちろん、デジタルコクピットとなった2面のディスプレイの先進感、見映えも、このクラスとしてなかなかのものだ。先代も7.5からナビ画面を表示できるフルデジタル液晶メーターを採用しているが、スライダースイッチなどの先進性は、やはりクラスをリードする機能と言って間違いない。そしてこのクラスにして通信モジュールを備え、モバイルオンラインサービス(We Connect/10年間無償、We Connect Plus/3年間無償)を一段と強化したあたりも、これからのクルマに必要な要件をしっかりと満たしているではないか。

 先進運転支援機能も文句なしで、クラスのベンチマークになりうるレベルにある。自動運転レベル2と言えるゴルフとして初搭載の「トラベルアシスト」は、0km/hから210km/hまでの速度域で、ACCとレーンキープアシストシステムによって、同一車線内全車速運転支援を実現。静電式になったステアリングに軽く手を添えているだけで(警告、解除されることなく)、レベル2の安全で安楽な運転支援に身を任せていられるのである。バックで出庫する際の安全性を高めてくれるリヤトラフィックアラート、そしてドアを開けクルマから下りる際、後方からのクルマや自転車が接近し、ぶつかる可能性がある場合にリヤレーダーセンサーが検知、警告してくれるエグジットウォーニング機能も、ユーザーメリット絶大のクラスをリードする安全性だろう。

 そうそう、ドイツ車、フォルクスワーゲン、ゴルフと言えば、ドアの開閉にかかわる精密で上質なタッチ、重厚な開閉音が魅力だが、ゴルフ7と比較した場合、明らかに進化。細かい点だが、ここでも依然、クラスをリードし、ベンチマークになりうると思わずにいられなかった。

 走行面では、とくに静粛性の高さの改善がポイントだ。このクラスの国産車、輸入車の多くは、Dセグメント以上のクルマと比べ、ロードノイズなどにあまり気を使っていないケースもあるのだが、新型ゴルフの車内の静かさは、先代後期型のゴルフ7.5にも増して向上している。高速クルージング中では、わずかな風切り音が耳に届く程度で、0.30から0.275へと向上した空気抵抗値、アクセルオフですぐにコースティングモードに入る制御、そこからエンジンがかかっても乗員に気づかせない高度な振舞い、2シリンダーモード(2気筒で走る)など、走行面、高速走行で伸びる燃費面でも、ライバルを真っ青にさせる技術も少なくない。もちろん、しなやかな足まわり、正確なステアリングがもたらすライントレース性、ロードホールディング性能も素晴らしく、山道を含めた走りやすさ、運転のしやすさはもう、抜群と言っていい。

 よって、ゴルフ7からの進化として、動力性能や乗り心地に関して大きな感動はないにしても(ゴルフ7時代から素晴らしく、あくまでボク個人の印象です)、それ以外の部分では、基本的な走行性能の高さ、48Vマイルドハイブリッド化やデジタルコクピットの進化、モバイルオンラインサービス、そして先進運転支援機能のフォルクスワーゲン・オールインセーフティの充実、「トラベルアシスト」の超実用性など、なるほど、新型のゴルフはここまで先進性を持って攻めてきたか!! と思わせる、世界のこのクラスのベンチマーク、スタンダードたる、ライバルが一目置かずにはいられない存在であり続けるであろう商品性をしっかりと身に付けてきた”新世代ゴルフ”と言っていい。そしてそれが、歴代ゴルフの誇りであり、新型に課せられた使命でもあるはずなのだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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