当時最強のF1チームだった「マクラーレン」が生んだ究極のロードカー! その名も「F1」とは (2/2ページ)

627馬力のスーパーカーはセンターシートを採用!

 F1用のエンジン開発を請け負ったM社側のプロジェクトリーダーは、ポール・ロッシュ。ゴードン・マレーとはブラハム時代からの仲である。そして完成したエンジンは、重量が補器類を含めてわずかに260kg。最高出力は627馬力。レブリミットは7500rpmという数字になるが、それが負担する車重総重量は1140kg。運動性能の高さは推して知るべし、だ。

 そしてこのマクラーレンF1が、実質的な後継車ともいえるGMA T.50に引き継いだのが、1+2シーターというキャビンデザインだ。ひとは「両手に華で最高じゃん」、というかもしれないが、じつはセンターシートのクルマというのは(さほど数があるわけではないけれど)、フォーミュラーカーなどを体験してみれば理解できるように、慣れるまでのドライブがとても難しい。かなりの確率で右か左に走行ラインが寄ってしまうのだ(あくまでも個人的な経験ですが)。

 さらにこのF1、およそその走りにアソビというものがない。ペダルは激重だし、ステアリングも正確無比の一語に尽きる。最高速はイタリアのナルド・テストコースで記録した386.16km/h。そういえば5台目のプロトタイプ、「XP5」とともに、マクラーレンは日本にもプロモーションのために来日。鈴鹿サーキットやTIサーキット英田なんかでは、ロン・デニスやプロドライバーが実際の走りも披露してくれたのだけれど、まさかここで恐ろしい光景を見ることになるとはなぁ。

 だいたいこの手のクルマはプロモーションとかお披露目の時の走りが一番危ない。ブガッティのベイロンだって、カリフォルニアのラグナセカのターン1で見事にスピン決めたおかげで、発売が何年か遅れたしね。走るベイロンを取材するためにカリフォルニアまで行ったたオレは、もっと焦ったわ。とにかくパワーあるクルマ乗るときは、運転するのが誰であっても自制心が必要ですよ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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