EVだけが答えじゃない! 「LCA」で考える本当の「カーボンニュートラル」の実現 (2/2ページ)

カーボンニュートラルをどの立ち位置で考えるか

 では、どうやってカーボンニュートラルを実現しようとしているのか?

 カーボンニュートラルのための方策は大きくふたつある。ひとつは、人間がさまざまな活動を見直すことで、排出される二酸化炭素を減らすことだ。もうひとつは、森林を保護するなど自然環境に対する配慮を進めることである。

 前者について、乗用車、バス・トラック、飛行機、船など輸送部門から排出されるのは全体の3割前後と言われている。残りは発電などのエネルギー関連や、各種製品をつくる製造工場からの排出だと考えられている。

 その上で、クルマについての対処法は、排気ガスを減らすこと、または無くすことだ。排気ガスを減らすためには、内燃機関の負担を減らすことにつながるため、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の必要性が高まる。そして、排気ガスが出ないクルマとしてEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)があり、これらはZEV(ゼロエミッションヴィークル)とも呼ばれる。

 ここで問題となるのは、EVの場合でも、バッテリーなど電動化部品の製造や、クルマとしての最終組立工程で二酸化炭素は排出されており、またエネルギー源である電気をつくるために石油や天然ガスなど化石燃料を採掘、輸送、そして燃焼さえることで二酸化炭素は排出される。

 こうした製品の成り立ちをトータルで考えるため、LCA(ライフサイクルアセスメント)というか考え方がある。

 LCAの観点で、たとえばEVとプラグインハイブリッド車を比べて、トータルでの二酸化炭素の排出量がどうなるのか?

 それは、走行に使用する電気、または車両生産工場で使用する電気を太陽光や風力による再生可能エネルギーを使うかどうかなど、メーカーやモデルによって状況は大きく違うため、一概にどちらが有利とは言い切れないと思う。

 いずれにしても、カーボンニュートラルはクルマの未来にとって大きな変化をもたらすことは間違いない。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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