モノコックのほうが優れているんじゃないの? イマドキの新車でも「本格クロカン四駆」にラダーフレームが使われるワケ (1/2ページ)

クロカン4WDに採用される「ラダーフレーム構造」

 ヘビーデューティー指向の4WD車、いわゆるクロカン4WDのメカニズムを見ていくと、車体構造に共通した特徴があることに気付く。独立したシャシーを持つ車体構造となっている点だ。シャシーまたはフレームとも言うが、クロカン4WDではラダー(はしご)型フレームを持つ車両構造が一般的なクルマ作りの基本となっている。

 さて、シャシーは日本語にすると「車台」となり、フレームは文字どおり「枠」の意味だが、シャシーが鋼板で枠を組んだ形となることから、車台のことをフレームとも呼んでいる。現在、乗用車系の車両でシャシーを持つ車両は、ほぼクロカン4WDに限られ(トラックなどもあるが)、そのほかはモノコックボディが標準的な車体構造として使われている。

 歴史的に眺めれば、シャシーを持つ構造が自動車の原点で、これは自動車の誕生以前、馬車の時代から使われてきた車体構造の基本でもあった。基本にシャシー(車台)を据え、これにタイヤ/サスペンションを取り付け、客室を載せ、さらに自動車の場合は、パワートレイン系(エンジン/トランスミッション)を組み合わせて車両を形成してきた。

 ところが、自動車は進化する過程で、軽量、高剛性、高効率(スペース性)であることから、シャシーとボディを一体化したモノコックボディの構造が考案、実用化されるようになっていた。モノコックとはmono(単一)とcoque(殻)を組み合わせたフランス語で、先進技術の導入に貪欲的だったアンドロ・シトロエンが、同社の革新的新型車トラクションアヴァン(1934年)で実用化した構造である。

 車体を応力外皮と考えるモノコック構造は、卵の殻を思い浮かべてもらえば分かりやすいと思うが、とにかく軽量で剛性が高いという特徴がある。鋼製シャシーに客室を載せたそれまでの車体作りとは異なる画期的な手法だったが、専用シャシーを使う車体構造には、モノコック構造にはない長所もあった。モノコック構造の特徴は軽量、高剛性だが、シャシーを持つ車体構造には高強度という特徴がある。剛性は曲げや捻りの力に対してそれに耐える特性のことだが、強度は力が加わった際、構成材が破断(破壊)する限界を示す特性で、厚い鋼板を用いるシャシー(フレーム)は、入力に対して高い耐性を示す特徴が備わっているのだ。


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