モノコックのほうが優れているんじゃないの? イマドキの新車でも「本格クロカン四駆」にラダーフレームが使われるワケ (2/2ページ)

路面入力に対して高い強度を保つことができる

 このため、シャシーを持つ車体は、路面入力に対して高い強度を保つことができ、サスペンションなどから加わる瞬間的な大入力に対しても、安定した状態で車体を保持することができる。クロカン4WDに向くと言われるのはこのためで、もちろんモノコック構造の車体でも同等の性能を確保できないわけではないが、車体を構成する鋼板の厚みや路面入力の支持点となるサスペンションピボットの処理、対策などを考えると、専用シャシーを持つ構造のほうがはるかに対応しやすいのである。

 また、モノコック構造はボディ全体で入力を受け持つ構造のため、大きな衝撃を受けてボディが変形してしまうと走行不能に陥ることも考えられるが、専用シャシーを持つ構造なら、ボディが変形、損傷した場合でも実走行には影響することはない。堅固なシャシーに支えられたサスペンションやパワートレイン系が正常に機能し、可動状態を保ってくれるからだ。

 ところで、この専用シャシーだが、その形状によっていくつかの種類がある。現在、クロカン4WDで採用されるラダーフレームは、シャシー構造のなかでもシンプルな形式で、左右1対のメインフレーム(サイドメンバー)を90度に直交する何カ所かのサイドメンバーでつなぐ構造で、その形がハシゴと似ていることからラダー(ハシゴ)フレームと呼ばれるている。構成材は、H形鋼、チャンネル鋼、I形鋼、あるいは鋼板を溶接して組み上げた部材などが使われ、ベーシックなラダー形状のほかに、バックボーン形式、X字形式、ペリミーター形式のフレームなどが自動車用として使われてきた歴史がある。

 また、丸パイプ(904から936にいたる一連のポルシェ純レーシングカー)や角パイプを立体的に組み上げたチューブラースペースフレーム構造を採る形式もあるが、量産車としてはラダーフレームが、もっとも一般的かつベーシックな形式となっている。

 なお、クロカン4WD風に見える4WD車の中には、ヘビーデューティーなクロカン4WDの雰囲気に着目し、初めからオフロード走行は想定せず、実際は舗装路走だけに用途を絞ったモデルも少なからずあった。これらのモデルはモノコック構造で作られ、RVブーム時には都市ユースの車両として人気を集めたが、いったんブームが去ってしまうと需要を失い、気がつけば市場に残ったモデルは、オフロードでの使用や走行に基本を置いたシャシー構造の車両、トヨタ・ランドクルーザーやスズキ・ジムニーだけという状況で、なんとも感慨深い。長く支持され続けるのは本物だけ、ということなのだろう。


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