経済格差が拡大! 庶民にはコロナ不況でも「高級車ブランド」が好調という日本の現状 (2/2ページ)

高級車の代名詞「フェラーリ」も売れている

 同様に2021年6月単月と2021年上半期の数字を見てみると、フォルクスワーゲンは6月単月が4331台(前年同月比184.8%)、上半期が1万7303台(前年同期比96.2%)、一方でアウディは6月が3125台(前年同月比171.5%)、上半期は1万2854台(前年同期比138.4%)となっている。

 ゴルフ8の登場により、これからフォルクスワーゲンが伸びていくと予想されるが、上半期の数字でみるとアウディは非常に好調だ。高価格帯のクルマが売れているという肌感覚が正しいことは数字が示している。

 庶民感覚ではコロナ禍による厳しさを感じつつも、マネーストックが過去最高を更新しつづけているということは、格差が広がっている。あるところには(お金は)あるのだ。そして、それは高級車の販売台数を押し上げている。

 さらに高価格帯で、スーパーカーの象徴ともいえるフェラーリについてはもっと驚く数字を見ることができる。2021年上半期での販売台数は566台で、前年同期比は103.3%。これだけを見ると、コロナ禍から復活しきっていないようにも思えるが、フェラーリについては新型コロナウイルスの影響を社会が受けまくっていた2020年上半期であっても548台を売っていた。これは2019年上半期の421台と比べて130.2%にあたる数字で、フェラーリはコロナ禍をものともせず、むしろ右肩上がりに売り上げを伸ばしているのだ。

 このあたり、新型コロナ対策として低金利・ゼロ金利の融資を利用して富裕層が高級車を購入しているという都市伝説的な噂と辻褄があう数字といえる。

 野村総合研究所が2020年12月に発表したところによると、日本における富裕層(純金融資産保有額1億円~5億円)は124.0万世帯、超富裕層(同5億円以上)は8.7万世帯が存在していると推計できるという。そして、この数字は2013年以降、確実増加している。

 さらにコロナ禍においてマネーストックが増えていることからすると、おそらく富裕層は増えている。高価格帯のクルマはこれからも活発に売れていく近未来が予想されるのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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