人気はF1が上! 歴史はインディ500に敵わない! それでもル・マン24時間レースが「伝説」たる理由 (1/2ページ)

8月15日からモータースポーツの夏が始まる

 東京オリンピックは終わったばかりだが、スポーツの夏が終わったわけではない。8月15日からフランスはサルト・サーキットにてル・マン24時間ウィークが始まる。日曜のテスト・デイに始まり、水曜から金曜にかけて練習走行から予選、そして土曜16時(現地時間)に決勝スタートで、24時間後の日曜16時にゴールというスケジュールだ。今年はJスポーツでオンデマンド配信による生中継も予定されている。

 ル・マン24時間耐久レースって6月じゃなかったっけ? という指摘はそのとおり。本来は夏至に近い週末、つまり1年でもっとも夜の短い時期に開催されるはずだが、コロナ禍で春先まで厳しいロックダウンを余儀なくされたフランスの事情で2020年は9月、今年は8月へと開催時期が延期されたのだ。

 それにしても、ル・マン24時間耐久レースはなぜ伝説のレースとなったのか? 初回は1923年開催なので、歴史の長さでは初開催が1929年だったモナコGP以上だが、インディアナポリス500マイルの1911年には敵わない。しかしこれらが、しばしば「世界の3大自動車レース」と称されるほどの高い格式を得たのは、なぜか? それは、いずれも地元の自動車クラブもしくは企業の運営による、草の根ながらも独立かつ自由裁量で、それぞれの地の利や魅力を最大限に引き出しつつ開催され続けている、名誉あるイベントだからだ。

 いずれのイベントも現在はF1やWEC、インディカーといった世界的規模もしくは北米規模の選手権に組み込まれた1戦に見えるが、誤解を恐れずにいえば、これら3レースは興行的には「選手権の一部になってあげている」立場で、中央集権的な連盟に対して特別な政治力と存在感を保ち続けている。平たくいえば、モナコGPなくしてF1は成立しないし、ル・マンのない世界耐久選手権なんてお笑い種だし、旧CARTが最終的にインディカーシリーズにねじ伏せられたのも、そういうことだ。

 話が逸れたが、ル・マン24時間耐久レースがなぜ伝説のレースになったかといえば、自動車の耐久性を、可能な限り安全な環境とオーガナイズの下に競わせる……という理念だけではない。24時間ぶっ通しで競うというわかりやすさの反面、劇的かつ人間くさいドラマが生まれやすい条件が観客を魅了したのだろう。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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